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BLOOD LINE
【女性向け 官能小説】

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2-1

案の定だ。
ジョンソンは「合意の上の性交渉、本人の18歳と言う言葉を信じた」で押し通したらしい。
どうやら、初めに約束した金額をジョンソンが「値切った」ことが発端のようだ。
一方被害者とされる少女は過去の事件が掘り返され、反撃に出ていない。
「退役により、本国へ帰還」これが米軍からの通達だった。
編集部にも「やっぱり」と言う空気が流れた。反面、それが悔しくもある。すでに何度もこんな事件が起きては、アメリカ側に有利に進むことばかりだ。
「どうします?」
富岡は編集長に尋ねた。
「おまえが当たった女からも大した話は聞けなかったしな。まぁ割いても3ページだな。トップには持って行けない。それでよければ原稿起こせ」
「もう一度横須賀に行って来ますよ」
「行っても無駄だろ?」
「この前カレーもハンバーガーも食わなかったので。行って来ます」
富岡は腹立たしい思いをこらえ、編集部のドアを開けた。
途中、取材で今から横須賀へ向かうので帰りは遅くなると妻へメールした。もっともメールなどしなくても、妻も帰りを待つことはない。
子供もいない夫婦で、お互い仕事を持っている。朝が早ければ相手に構わず先に寝るし、朝は黙って出て行く。これが長年過ごして来た中で出来上がったルールだ。
冷えているわけではないが、かと言って新婚のような新鮮さもない。時折、これが自分の家庭なのか、と考えることもある。子供がいれば違ったのか。
富岡は40、妻も38だ。熱心に子供を望まなかったことが良かったのか悪かったのか。
電車に乗ってから妻からは「ご苦労さま」とだけ返事が来た。
京急線汐入駅に着いてから先日聞いていた倉田結子の携帯に電話をかけた。
これから店に行きたいと告げると、昨日から風邪気味で店を休んでいると言う。都内を出る時に確認しておくべきだったが、昼過ぎまで寝ているだろうと言う富岡なりの気遣いが裏目に出た。
今日のところはこのまま帰ると告げると、体調はだいぶいいし食事に出るつもりだから会ってもいいと言う返事だった。
「店まで来て。裏に回ると階段があるから、上がって。そこが私の部屋」
見舞い代わりにカットされたスイカを買って、富岡はドブ板に向かった。今日は会えないと思った瞬間の落胆と、結子の部屋に向かっている今の気持ちの差はなんだろうと思った。
仕事だろ?自分に聞いていた。




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