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BLOOD LINE
【女性向け 官能小説】

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1-5

「32なんてまだ若いでしょう。私の部にもいますよ、30代で仕事一筋の女の子たちが」
「雑誌の記者なんて、かっこいいわね」
「そう見えますか?雑誌の売上げは下がる一方で休刊廃刊はざらです。情報ならネットが断然早いし。少しでも売るためには、目新しい情報が欲しい。ゆえに、今回のように相手に不快な思いをさせることもあります」
「別に不快な思いなんてしてないわよ。話せることがなくて申し訳ないくらい。わざわざこんなところまで来て収穫なしでごめんなさいね」
話はここで終わりと言いたげにそう締めた。横須賀まで来てみたが、彼女の言うとおり取り立てて記事になりそうなことは聞けそうもない。取材費は出せないな、と思った。
「富岡さんて、とおるって読むの?」
初めに渡した名刺を見て言う。
「そうです」
「変わってる。亨って、この漢字使うの」
「ああ、そうかも知れないですね。多いのは徹するとか、透けるとかかな。親父の名前の一文字を取ったらしいです」
「あら、私の知ってる人もそうよ。この字で亨二って言うの」
「偶然だな、親父もですよ。ああ、倉田さんのご家族は?」
「母がいるけど、今は別に暮らしてるの」
「お父さんや兄弟は?」
「いないわ、母と二人」
「そうですか」
富岡はノートを閉じた。気づけば辺りはすっかり陽が落ちていた。カフェが明るいので気づかなかった。何かあれば連絡を、と言ってその場でわかれた。


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