恋-6
「あ?」
ほんの少し不機嫌そうに声を出した吉野さんに
「これ、いいにおい」
そう言えば
「そうか」
と嬉しそうにギュッと抱きしめる。
「でも微か過ぎる。もう少し多くつければいいのに」
そう顔をあげた私にニヤッと笑って。
「麻子だけが嗅がなくていいのか?
他のオンナがこの匂いを感じていいんだ?」
なんていう。
「意地の悪いオトコ」
そう睨みつけた私を笑いながら、さらにぎゅっと抱きしめて。
「セックスしようぜ」
と耳元でささやいた。
その言葉でああ、セフレだったけ。
忘れちゃいけないその事を思い出して背中が冷たくなった。
そんな私に気がついたのか、吉野さんは苦笑いをして
私の髪をくしゃっとなでる。
「今日はゴム買って来たから思いっきり抱いてやる」
その言葉に、赤くなった顔を隠すように横を向けば
「麻子、可愛い」
なんて首筋を噛みながら言うから。
「あ・・・ぁ」
小さく声が―――漏れた。