恋-5
「大学の時に、同じ学年の彼氏と、俺の1個下の成田だっけ?
あいつと結構ハデに騒いだよな?」
「・・・・」
あんなこと。覚えてる人が未だにいるなんて。
「彼氏だった奴も成田も、優しい感じのお坊ちゃんタイプじゃん」
「・・・・」
「野口さんに似てない?」
そう言ってビールを一口飲んで
そのまま横にいた私の唇をとらえてキスをする。
ゴクッっと音を立てて
吉野さんの口内から私の口に移されたビールを思わず飲み込んだ。
「え・・・・」
「他の男に気ぃ散らしてんなよ」
会社では・・・・
明るい感じの爽やかな人なのに。
私を射抜く視線の色っぽさにゾクッとした。
「俺だけを感じてろ」
そう言って私の頭を自分の胸にかき抱いて
ビールを飲み干した。
タンッと軽い音を立てて
空になったビール缶をテーブルに置いて
再び私にキスをする。
「ん・・・っ」
クラクラするその香りは
吉野さんが付けているトワレか・・・
「いい匂い・・・」
思わずワイシャツを引き寄せてその匂いを嗅いだ。