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呪縛の檻
【その他 官能小説】

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崩落-3

 秀慈の父、一馬はいつものように夕飯時には帰宅が間に合わなかった。
夕食後、絵茉が書道部の他の部員の為に見本を書かなければならないと自室へ戻った後、秀慈は母に尋ねた。彼は父に頼みごとがあったのだが、父となかなか話が出来ず伸ばし伸ばしになってしまっていた。今日こそ頼まないと時間がない。

「母さん、父さんが帰ってきたらとちょっと話したいことがあるんだけど、何時帰ってくるかな?」

「珍しいわね、頼みごとなんて。お父さんは10時前には帰ってくるはずよ。」

「今度英語のスピーチをしなくちゃならなくてね、父さんの会社に新しくイギリスから来たっていう人がいるんでしょう?その人に僕の発音が変じゃないか聞いてもらいたくって。」

「それならお父さんが帰ってきたら教えるわね。あなた色々やることあるでしょう?」

「うん、助かるよ。じゃあよろしくね。」

 そう言って秀慈は食卓を後にした。彼は風呂に入ったり授業の予習・復習を終えてふと時計を見るとすでに針は11時を15分ほど過ぎていた。まだ父さんは帰ってきていないのだろうか?と思って、両親の寝室へと向かう。

「母さん?」

部屋をノックすると、慌てて彼の母が出てきた。

「ごめんなさい、秀慈!あなたに言うの忘れていたわ。お父さん帰って来たのよ。この時間はいつも書斎にいらっしゃるから、そっちへ行ってくれないかしら?お母さんも明日の準備していてうっかりしていたわ・・・。」

「わかったよ、明日母さんも集まりがあるんだったね。じゃあおやすみ。」

そう言って秀慈は離れにある父の書斎へと向かった。書斎はこの屋敷のどの部屋より広く、本がびっしりと詰まっていた。経営の本から海外の画集まで取り揃えていて、小さい図書館のようだった。彼の父は本を読むのが好きで、就寝前はここでくつろいでから寝るらしい。
 秀慈は書斎のドアを軽くノックするが、中はしん・・として返事がなかった。もしかして本を読みながら寝ていたりして。そう思いながら彼は扉を開け、父を呼んだ。


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