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真田拾誘翅(さなだじゅうゆうし)
【歴史物 官能小説】

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 いったん引いた手勢を前に秀忠が憤っていると、城から昌幸・幸村父子が自ら物見に出張ってきた。それを見た徳川勢は『それ、討ち取れ』と全軍で神川を渡って攻め寄せる。自分を囮に敵を川のこちら側に引き寄せた昌幸はサッと軍配を打ち振った。かねてより神川の上流を堰き止め、流れを浅くしていたのを、堰を切って落とさせたのだ。川は一気に増水し、背水の陣を余儀なくされた徳川方がうろたえているところへ、城から弓矢・鉄砲。さらに幸村が果敢に打って出る。加えて横の林から伏兵も出現。徳川の兵は大混乱になった」

昌幸の人形が諸手を挙げて勢いづくのに対し、秀忠の人形は後退し手脚をばたつかせる。見物客は歓声を上げ寡兵が多勢を打ち負かす様を応援する。この演目は幕府にとってふとどきなものであるので興行をやめさせようと役人が舞台裏へ足を踏み入れることがあるが、そういう時は稀代と伊代が素早くすり寄り、袖の下を渡して懐柔する。おおかたの役人はこれで見て見ぬふりをするが、本日の代官の手下は金では引き下がらなかった。そこで稀代・伊代姉妹はどうしたかというと豊満な身体で役人を左右から挟み込み、河原を抜けて葦の茂みへと連れていった。その様子を目の端で捉え、由莉は物語の佳境を声張り上げて語る。

「かの武田信玄が鍛えし甲州兵の流れを汲むのが真田の兵。甲州兵一人で三河兵三人に値するという世評のとおり徳川勢を圧倒する。強弓唸り、鉄砲轟き、馬いななきて蹂躙する。これはいかぬと秀忠、退(の)き太鼓を打たせるも、神川は流れが速くなっており渡るのが危険。しかし真田勢が騎虎の勢いで攻め寄せる。恐慌をきたした徳川の兵は濁流に身を投じて溺れる者数多(あまた)であった」

ここで後世の講談であれば張扇がパパンパンパンと鳴るところだが、由莉は早喜に合図して太鼓を連打させる。昌幸の人形は軍配盛んに振りかざし、秀忠木偶(でく)は打ち震えながら下手へと消える。

「屈辱的な負け戦を喫した秀忠はなおも真田攻略に意地を張ったが、東海道を進む家康がかなり西まで達していたことを知り、これ以上この地に留まるわけにはいかなくなった。仕方なく上田城を見張る兵だけを残し出立したが、途中、真田の伏兵を恐れて本道を避け難路の間道を通ったため、進軍は遅滞した。上田城攻めに時間を割いてしまい、その後の行軍にも大いに手間取りしゆえ、徳川の主力たるべき秀忠軍三万余はついに関ヶ原の戦に間に合わず、天下に恥を晒してしまったのであった。
 一方、『寡』で『多』を打ち破った真田の株は大いに上がり、天正十三年の第一次上田合戦に続いて慶長五年の第二次上田合戦と、二度にわたり家康に苦渋をなめさせた昌幸の名は津々浦々に知れ渡ったのである」

早喜が桴(ばち)を置き、拍子木をチョーンと打って幕となった。
 傀儡を操った音夢と睦、語りを務めた由莉が、熱演で火照った頬のまま舞台の前に出ておじぎをし、大助と宇乃、早喜が客の投げ与える銭を拾い集めた。

 上田城での真田の活躍は合戦が行われた当時こそ人口に膾炙(かいしゃ)したが、時が経てば忘れ去られるもの。そこで諸国を渡り歩く真田傀儡一座の出し物として人々の記憶に残し、いつまでも「真田といえば戦巧者」と誰もが思うように仕向けていたのであった。

 ところで、幕府の役人を葦の茂みに連れ込んだ稀代・伊代はどうしたかというと……。

「おう、お役人。さっきの出し物『上田合戦』のことは忘れてくれよ」

稀代が胸をはだけながら言う。いきなり豊満な乳房を眼前に突きつけられ、役人は息を呑む。

「そうだよ。忘れてくれさえしたら、あたいたちの乳をたっぷり舐(ねぶ)らせてやるぜ」

伊代も張りのある乳房をブルンと出す。図体は大きく粗野な感じの娘たちだが、十四歳と十三歳の瑞々しい巨乳を目の前にしては、役人は生唾を飲まざるをえない。しかし、

「役目上、そういうわけにはゆかぬ!」

両目を瞑って固辞する。

「石部金吉だねえ……」稀代が溜息をつき、「そんなら、こうしてくれるわい!」

両の乳房を手で挟んで盛り上げ、そのまま役人の顔へ押しつける。

「なにをす……ムム…………ム………………」

「あたいも、こうしてやるわい!」

伊代が背後から胸を役人の頭に押し当てる。顔面と後頭部を弾力のある乳房で挟まれ、役人は鼻血が出そうになる。

「ほらほら、さっきの出し物を忘れると誓ったら、もっといいことしてやるぜ」

稀代が乳首で役人の鼻の頭をくすぐる。

「あーーー、こいつ、もう魔羅をおっ勃ててやがる」伊代が役人の股間に手を突っ込みながら言う。「案外、けっこうな一物の持ち主だぜ、こいつ」

「おーーー、そんなら、犯(や)っちまうか」

「そうしよう!」

姉妹は役人を裸に剥く。高野山の若い坊主を襲い、まぐわうことを繰り返している二人だけに手際がいい。仰向けに転がされた役人の上に稀代がまたがる。そして、勃起魔羅に手を添え、開(ぼぼ)にあてがう。胸をはだけた時点で軽く濡れ始めていた女陰はヌルリと亀頭を呑み込む。

「あ、見かけだけでなく味もいい」

姉の言葉に妹は、

「そんならあたいは舐めてもらおうっと」

役人の顔の上でしゃがみ、秘貝を押しつける。
 男は「女の臭い」をまともに嗅ぎながら魔羅を締まりのいい膣で刺激され、鈴口から先走りの露を漏らす。そして、伊代の秘唇がヌメヌメと口と鼻をこすり、稀代の女陰がヌラヌラとよだれを垂らしながら肉竿を食い締めると、役人は高まってきて、精を放ってしまう。

「おっ、出したようだな」伊代が男の顔を見て言う。「稀代姉(ねえ)、早くどきな。今度はあたいの番だ」

姉が身を引くと、女陰から精子と愛液の混じったものが糸を引く。その糸を繰り出した魔羅が萎れ始めるところへ、伊代が口唇愛撫を施す。


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