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【スポーツ 官能小説】

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〜 始業式・講話 〜-3

 『殿方』……久しぶりに耳にした単語だ。 
 私の幼年学校時代、1人だけ明らかに見た目が違う生徒がいた。 何をするのも1番だった。 足は速いし、力は強いし、何でも知ってるし、機械もテキパキ組み上げる。 数学なんて、私が1問終える間に全部終わらせてしまう。 休み時間には「i」だとか「f」だとか見たことも無い文字が並んだ本を黙々と読んでいた。 着替えも私たちと違う場所だったし、体つきも、胸が全然膨らんでなくて、肩幅が広くて威圧感があった。 担任の先生も、一応私たちと平等に扱ってはいたけれど、明らかにその生徒に気を遣っていた。
 今にして思えば、あの生徒が『殿方』なんだろう。 実際の社会は、あの生徒のようにとんでもなく優秀な『殿方』たちが回していて、その中に混ぜて貰うことで、私たちも社会の一員になれる。

「成績についてはいわずもがなですね。 優秀でない生徒は、優秀でなくても勤まる職業が無数にあります。 家畜として精肉されるもよし、社畜として奉仕するもよし、お好きな方を選べば宜しい。 勉強は強制しませんので、それなりに取り組んで、各自進路志望を実現しましょう。 以上です」

 水を打ったように静かな中で教官がマイクを置く。
 替わって黒のタイトスーツ姿の教官が前に出た。 

「続いて、教務指導部長より訓戒を頂きます。 一同、略礼」

「「……」」

 三たび乳首を摘まむ。 ブルンブルンブルン。 心なしか、回す勢いまで揃った気がする。 2号教官に何度もやり直しをさせられた『挨拶』や『点呼』に比べれば、この略礼は簡単だ。

「おはようございます。 始業式のあと、最初の『4月課題考査』があります。 試験の受験については担当の教員から説明を受け、きちんと規則を守って受験しなさい。 以上」

 簡潔かつ早口に挨拶を終え、あっという間に教官が列に戻った。 教官たちは揃って2つの『旗』に一礼し、舞台を後にする。

「教官方に、礼!」

 生徒会長の号令で、A・Bグループは見事に倒立した。 体育館一面に、スカート茶巾寿司と肌色の割れ目、そして腰をつきだして股間を拡げる私達。 教官全員が舞台から見えなくなったところで、

「元の体勢に、なおれ」

 直立不動の姿勢をとる。 

 これで終わりかな、想像してたより短いな――などと思っていたが、生徒が集会を終える気配がない。 改めて舞台を見上げると、確かに教官はいないが、生徒会長だけはその場に残っている。
 戻らないのかと不思議に思っていると、A4番先輩――私たちの寮長で、生徒会副会長をしている――が台車を押して現れた。 台には表彰状や、小さな旗だろうか? 何やら細々と並んでいる。

「それでは、これより表彰式をはじめます。 名前を呼ばれた生徒は檀上に上がってください」

 会長の明るい声色と、裏表がなさそうな笑顔。
 可愛らしくて素敵だな、と思う。 それでも、私には素直に好きになれそうにない。 この学園で素直な笑顔でいられるとすれば、それはきっと特別なんだろうと思う。


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