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Training@Training
【スポーツ 官能小説】

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〜 日曜日・指導 〜-1

〜 9号の日曜日 ・ 指導 〜




 寮監の忙しい一日も、夕食時には一息つける。 私は寮監室で1人夕食を摂りながら、寮監室に据えられたのモニター越しに、食堂の様子を眺めている。 それまではB、Cグループ生を中心に三々五々まとまっていたが、夕食になってようやく普段の静けさを取り戻したようだ。 チェックポイントから戻ったAグループ生5名が上座に陣取り、粛々と食事が進んでいる。 食堂は満席で、Aグループ生を含め、全寮生が揃っていた。

「ふうん。 脱落者はなしみたいですねえ」

 年度によっては、最後まで指示に従えなかったCグループ生や、行き過ぎた指示で不具になったBグループ生が、1人や2人はできる。 そうならずに済んだということは2つの要因がある。 1つにはBグループ生がしっかり後輩を指導できたこと。 もう1つは、Aグループ生が適切な指示をBグループ生に与えたことだ。

「今年のAグループさんも、中々優秀ですし、当然といえば当然かしら」

 寮長で生徒会副会長でもあるA4番を筆頭に、5人のAグループ生は選び抜かれた学園のエリートだ。 服従、自発、指導、修養、どれをとっても一定の水準を充たしているのは自明の理だ。

 史性寮、ひいては学園において、Aグループは特別な意味をもっている。 卒業を控えた身であり、進路を選択できる立場であり、個室をもち、後輩に対して拒否権の無い命令をだす権利をもつ。 力が行き過ぎるのは、社会のどこでも変わらない。 特に入寮後最初の日曜日――つまり今日のことである――は、Bグループ生のチェックを兼ね、危険な指示を奨励している。 或る時は『高いところから飛び降りさせ』たり、或る時は『針の山を歩かせたり』、或る時は『錘(おもり)をつけて水の中に沈め』たり。 一歩間違えばBグループ生に欠員を生じてしまうかもしれないレベルの指示をだしたことだろう。 

 世の中には指示を出す側と出される側がある。 9号教官と呼ばれるようになって、改めて思ったことは、『指示を出す側』の方が私の性に合っている。 それじゃあ『指示を出す側』の方が楽かというと、決してそんなことはない。 相手の反応を予想しなければいけないし、相手が達成できなかった場合の対応を考えてなければいけない。 時と場合によっては後先考えない指導も有りうるが、基本的には落とし処(どころ)も用意する必要がある。 指導に小道具を使う場合、事前準備や事後処理を含め、膨大な作業が避けられない。 指導を通じて生徒を掌の上で扱うには、並々ならぬ観察力と発想、そしてエネルギーが必要になる。 

 ゆえに本来であれば、生殺与奪レベルの指示は、選ばれた立場――学園でいえば『正規の教官』――にのみ認められている。 勿論教官の差配で生徒を再起不能にすることが可能か不可能かでいえば、まったくもって可能であるが、簡単に命を奪うことなんて出来やしない。 なぜなら生徒に重大な支障が起きた場合、その程度に応じて教官は学園から指導を受けねばならないためだ。 行き過ぎた指示を行った件で学園から指導を受け、廃人になった例はいくらでもある。 例えば『短期間に補習生徒を複数出す』と、教員の指導力不足と認定されて、学園管理職から指導を受ける。 私はまだ実際に体験したことはないが、精神に支障が残るレベルもあると聞いている。 管理職指導を受けるのが嫌というなら、教官といえども、一定範疇の指示で矛先を収める必要があるわけだ。 聞くところによれば、2号教官は一昨日すでに指導を受けたらしい。 私も一生を無指導で済ませられるとは思っていないが、出来れば1、2度で済ませたいのが本心だ。

 幸い、B・Cグループ生ともに欠員はでていない。 Aグループはいい仕事をした。
 が、それはそれとして、Aグループ生に対し、彼女たちが出した指示が『分不相応』であることは、しっかり認識してもらわねばならないだろう。 調子に乗ってこのレベルの指示を連発し、取り返しのつかないことになった場合、寮監たる私の責任問題にもなる。 

「……」

 早めに釘はさしておくべきだ。 それに、しばらくBグループ生と遊んでばかりで、Aグループ生とはご無沙汰でもある。 今夜あたり、久しぶりにAグループ生と遊んであげよう。

「こほん」

 咳払いを1つして、寮内放送のスイッチを入れる。

『Aグループ生に連絡します。 食後ただちに寮監室へ来なさい。 繰り返します。 Aグループ生に連絡します。 食後ただちに寮監室へ来なさい』

 モニターの向こう側で、Aグループ生が顔を見合わせている。 
 この放送も、ある意味恒例行事なので、何故呼ばれるかは見当くらいついているだろう。 そのくらいの勘が無ければ、BグループからAグループには進級できない。

「せっかくの休日ですもの。 B、Cグループ生だけ可愛がってもらったんじゃ詰まらないでしょうし、身体がなまっても困りますし」

 ひとりごちつつ、残りの夕食を平らげる。 

「さて。 一通り、遊ぶ準備はしておくとしましょうか」

 三角木馬や伸長強制機の横にある棚には、楽しいコレクションが満載だ。 私が前任の寮監から引き継いだ、学園所蔵の拷問具一式。 爪剥ぎ、血のマニキュア、洋梨、ハードクリップ、バインダー……実際に使う気はないけれど、使うことになった場合に備え、油くらいは挿しておこう。

 しばらくして、

 コン、コン、コン。

「失礼します」

「おはいりなさいな」

 ガチャリ。

「ありがとうございます。 Aグループ一同、および頂き参上いたしました」



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