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【スポーツ 官能小説】

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〜 土曜日・配布 〜-2

「45分までに平らげるように。 開始」

 動揺の気配が消えない教室に構うことなく言い放つと、

「「……!」」

 ぺちゃっ、ぴちゃぴちゃ、あんぐ、がつがつ、ずずず……。

 一斉に生徒が机に乗せた食器につっぷす。 手をつかって食器をもちあげるような、人がましい真似をする生徒は1人もいない。 全員がお碗に顔で突進するため、はしたない咀嚼音が教室に溢れる。 数日前はゆっくり恥じらいながら舌を伸ばしていた9番も、いまでは鼻先をオートミールに埋めながら啜る勢いだ。 食器に食事を残したり、或は時間がかかりすぎればどうなるか、身に染みて理解してくれたようで何よりだ。

 ゴクッ、ゴクッ、ゴキュッ。
 ベロンベロン、ズズーッ……ズズズーッ。

 懸命に嚥下する生徒に混じって、

「うっぷっ……!」「オエッ……エブッ」「ぐすっ」

 食道を逆流しかけた流動食を押し戻したり、嗚咽を漏らしたり、吐気を堪えきれずに痙攣する様子もそこかしこで見られる。 一週間経ったといっても、学園の食事を平気で済ませるようになるのはまだまだ先だ。 私の経験では、半年間は食事とは吐気との戦いだった。

 ずず……ごくごく……ぺちゃぺちゃ……あんぐあんぐ……。

 時計の針が刻々と進む中、溢れそうになっていた白いスープもぐんぐん嵩(かさ)を減らす。 どうやら5分以内にあらかた片付けてしまう勢いだ。 私はコンソールで配布物の手配をしながら、5分の時間設定を反省した。 どうせなら4分30秒くらいに設定して、間に合わない数名を指導する機会を作る方が理に適っていたのに、これでは全員合格してしまうではないか。 

「……」

 『教育は折に触れて』というが、実際は『折』を作ることも担任の仕事だと私は思う。 まあ、教員が絶対的な立場を行使できる学園では、教員に課せられるペナルティを度外視すれば『折』なんていくらでも作れるので、これはこれで構うまい――。 


 
 当初の予想とは裏腹に、35人全員が時間内にオートミールを平らげて、しっかり教壇に顔をあげた。 誰もが顔中に白い液体をべったりつけており、どの顔もブザマでみっともなかったが、俯いて視線をそらせる生徒はいなかった。


 ……。


 教科書類に先立って、生徒用の『朱肉』を配る。 硫化水銀を基調とした『淦』を沁みこませた、昔ながらの蓋つきだ。 ただし印鑑は配らない。 学園生徒にとって、『三文判』は自身の右乳首、『捨て印』は左乳首、『実印』は自身のクリトリスだ。 基本的にたいていは『三文判』で事足りる。 例えば学園では氏名の記入が存在せず、私有物を示す場合は『三文判』を右下に押すことになっている。 実印を押す機会は少ないが、その時は包皮をペルッと捲って朱を塗(まぶ)し、印をおすべき箇所を跨いでグリグリと局部を押しつけることになる。 

 乳首の隆起、形、皺、大きさには個人差がある。 生徒はひとまず自身の乳首を観察し、自分の『三文判』の形をしっかり見極めることから始める。 でなければ『三文判』を押したところで私物の区別がつくはずもない。 最初は多少の混乱があるが、最終的にはクラス全員の持ち物を『三文判』から見分けるようになるのだから、慣れの力は侮れない。

 これから様々なプリントに自分の印をつけることになるが、その度に印鑑を取り出す作業を省く意味でも、忘れ物をしない意味でも、身体で印をつける行為は理に適っているといえよう。 だったら拇印でいいではないか、という話になるが、拇印で印をつける権利は卒業記念品扱いになっており、在学中は認められない。



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