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セクハラ研修会
【OL/お姉さん 官能小説】

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第二話-4

「あ、あの……わ、私……。」

そこへ、また別の声が割って入る。如月達と異なり
その声色には、怒りや不満よりも、怯えと困惑が強く滲み出ていた。

「その、私は、辞退させて、頂こうかと……。」

頬を染め、床に落とした視線を泳がせて
モジモジと身体を小さく動かしながら前へ進み出る、ポニーテールの女。
その動きで、大きく張り出したバストもぷるん、と小さく揺れた。

元々、性的な事にウブで、羞恥心が人一倍強い彼女にとって
セクハラ枠、というのはいくら高待遇であったとしても
とても恥ずかしくて、自分には耐える事も仕事をこなせる自信もなかった。

「あら、そう?名前は?」

「あ、す、すみません。大河内ののか、です。」

「大河内ののか……ああ、残念ねぇ。
貴女は、略歴も人間性評価も、一般枠で充分採用に値する人材だったの。」

「えっ……?」

大河内は意外な言葉に顔をあげて
頭を混乱させながら女を見つめた。

「でもねぇ、この会社、巨乳の女性が不足してるのよ。
ほら、周りのセクハラ枠採用女性を見ても、バストサイズは平均的か
それ以下の人ばかりでしょう?」

その言葉に、大河内はますます羞恥で顔を真っ赤にしながら
視線を自分の豊かな乳房へ向けて落とした。

昔から自分のバストの発育が他人より著しい事は自覚していたが
それによって名も知らぬ通りすがりの男からギラつく視線を注がれたり
周囲の人間から揶揄されたりと、ただでさえ性的な事に恥じらいの強い大河内は
ずっとそれを大きなコンプレックス、重荷として抱えてきたのである。

また、周囲の女性たちも、自分の胸に手を当てて、大河内のソレと見比べながら
表情を暗くして肩を落としていた。如月などは、また露骨に不機嫌そうな顔になっている。

「只でさえ、ウチの会社は巨乳の需要に対して供給が間に合ってなくて。
仕方なく、貴女をこっちに回す事で急場を凌ぐ事にしたってワケ。
でも、そう。辞退するのね?

面接のデータによると、貴女はお父様の跡を継いで医師になる筈だったのを断念した
ってあるけれど。せっかく採用された一流企業も続けて辞めて
ご自慢の娘が結局無職だなんて、お父様も悲しまれるでしょうね。」

「!」

はっと息を飲む大河内。自分に深い愛情を注ぎながら大切に育ててくれた
尊敬する父の顔が脳裏をよぎる。

父の跡を継いで医師になるために勉強してきたが
自分の癖でそれを断念せざるを得なくなった時。
父は全く咎める事はなかったが、その表情には深い落胆の色が確かに見えた。

そのため、せめて社会的に大きな信頼のある企業に就職して
父の恩に報いたい、と考え必死に就職活動をして
何とかこの会社の内定がもらえた事を報告した時。
父は満面の笑みで、私を祝福してくれた。

ここで自分が退職して戻れば、あの笑顔は、また深い落胆で覆われてしまうだろう。
責任感が強すぎるほど強く、自分より他人の事を優先して考えてしまう大河内にとって
それはセクハラという羞恥以上に耐えがたく感じられた。
そこへ、追い討ちのようにグラマー女の言葉が続く。

「どうかしら?先ほども言った通り、貴女は戦力としても惜しいわ。
だから、とりあえず暫定でセクハラ枠として採用しておいて
他に新しく巨乳の女性を採用し次第、貴女を一般採用枠に回して再雇用する事を約束しましょう。
いかが?少しの間ガマンすれば、一般社員になれるわよ?」

「…………。」

その提案を断れるだけの理由と余裕が、見当たらなかった。
大河内は無言で首を縦に振り、了承の意志を示す。

「そう、よかったわ。では、これで前口上は終わり。
いよいよ、本題のセクハラ研修に入りましょう。
これから、順を追って説明、その後実践してもらいます。

まずは、前のスクリーンを見て頂戴。」

言い終わると、プロジェクターを機動させる女。
前方のスクリーンに映し出される映像は、新入社員たちの想像を超える
卑猥で現実離れしたものだった。


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