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初恋はインパクトとともに
【青春 恋愛小説】

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初恋はインパクトとともに ♯5/魔法の言葉-5

アカネもこちらを振り返り…私を見つめる。
そして……

……
………
……

「今日って…月曜日なんだよな。」
そう、月曜日なんだよ……
「…」
「ははははは」
「えぇぇ〜!」
「けらけら〜」
「し、しまった!急いで支度…いや、このまま…いや、制服が…いやいや…」
「今日はサボっちゃうかなぁ〜」
彼は空の向こうに何かを見つけたような遠い目をしている。
「わ、私の皆勤賞がぁ〜〜!!!」
私としたことが、日曜日の次は月曜日であることを忘れていた。いやしかし、休むわけにはいかないのだ!なぜならば!!九年連続の皆勤賞がかかっているのだから!!!
「アカネ!走るぞ!!」
私は彼の答えも聞かずに走り出す…駆け出す!
手を握ったままなので、当然アカネもついて来る。

山を越え、谷を越え〜○○くんが〜…
いやいや、坂を下り、塀を飛び越え、道無き道もなんのその…我らは進む!進む!!突き進む!!!
彼を引っ張っているため二倍疲れるが苦にはならない。何故かって?何故だろうか?まあそんな事を深く考える繊細な思考回路を動かす気力なんて持ち合わせてはいなかった訳だけど…


リーンリーンリーンリーンリーンリーンリーンそして最後にリーン。鐘の音が鳴り響く…
「8時だ……」
そう、8時だ。何度見返しても8時だ。8時に変わりない。
もう8時…すでに8時…圧倒的に8時…確実に8時…どうしようもなく8時…もう何が何でも8時なんだ。
「わ、私の皆勤賞が……」
学校は9時に始まるから…どう考えても間に合わない。
私の九年間は何だったんだ。
「そんなに落ち込むなって…」
やはり手は握りあったままである。いい加減、自分でも気付いてはいるが…何だかいまだに握りっぱなしだ。と言えばロマンチックかも知れないが、ただ単に長時間強く握りすぎたために指が開かないだけだったりする。
実は何度か放そうと試みてはみたのだが、指が開かないんだ。

それからベンチで呆けることしばらく…さすがにもう学校は諦めた。何だか学校に行くよりも大事なものがあるような、ないような…やはりあるような気がして。

グゥゥゥ〜……
二人の腹の虫がなる…それはまるで何かの悲鳴のように重々しい。そらそうか、昨日の昼から何も食べてないし。
とりあえず飲食店を探し駅前を歩き回る。相変わらず手は握り合ったまま。周りから寄せられる視線が何だか…変だ。仕方ないじゃないか、放れないのだから…放したくないんじゃないかって?
うむぅ…まさかなぁ。

「まぁ、こんなとこだろうな。」
私たちはお互いの財布の中身を確認し、無難なファーストフード店に入ることにした。
やはり店員の視線が何だか熱かったのだが。
「いらっしゃいませ!」
「スマイルてりやきとオレンジジュースで…後、チーズバーガー単品で2つ。」
ちなみにスマイルとは0円の店員のソレではなく、セットメニューのことであり、チーズバーガーは百円キャンペーン中である。
「では同じものを…」
自慢ではないが、あまりこういった店には入ったことがない…なので私は彼と同じモノを頼むことに…
「2つで足りるのかい?」
何だかちょっとイヤな笑いかたで気にいらないが確かに足りない…
「単品は4つで…」
空腹にはやはり勝てないので…
まあ本当は4つでも足りなかったりするんだが…


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