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『Twins&Lovers』
【学園物 官能小説】

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『Twins&Lovers』-84

「その……」
「こっちも……か?」
 ダイスケは、右手を太ももの間に割りいれた。そして、その中心に息づくエリカの女の部分を、す、と撫で上げた。
「ひゃ!」
 びくり、とエリカの腰がはねる。想像以上の電撃に、身体の反射が反応してしまうぐらいに。
「わ、悪い」
 その反応に、驚いた様子のダイスケは、動きが止まっていた。何しろ全てが初めてのことだ。彼の困惑も、仕方あるまい。
「ふふ………」
 エリカは、そんなダイスケが楽しくて仕方ない。お互い初めて同士なのは確かだが、なぜか自分のほうが冷静だ。
 股間の潤いは、自分でもよくわかるほど。そして、ダイスケの興奮も、それを示す砲身の怒張具合から目に見えてわかる。
「…ね」
「ん?」
「ひとつに、なりたい」
 だから、エリカはダイスケに告げた。自分の少女は、全てをダイスケに捧げたい。そして、ダイスケの熱さを、中で感じたい。
 エリカは、ダイスケの全てを、欲していた。―――……』



 そして、結ばれた二人は、その後も愛を育んで……という、典型的なラブ・ロマンス。
この場で扱われる性描写も、愛情を表現するためのひとつの演出であり、悦楽だけを求めるものは一切ない。
以前まで、“安納郷市”の小説でも、どちらかというと濃密な性描写でなければ、物足りなさを感じていたふたみだったが……。
(あ……)
 むずむずと、太ももをよじらせる。明らかに、その中央が粘り気を帯びていた。つまり、濡れてしまったのだ。
「ふ、ふたみちゃ〜ん………」
 肩を、誰かに掴まれた。びく、と全身が波打つ。
「み、みのちゃん!?」
 それだけではない。兵太も、ふたみを凝視していた。
「あ、あの……?」
「気に入ってもらえたようで、ワイも嬉しいですわ」
「………!?」
 兵太が八重歯を見せると、ふたみの熱量は上がった。全ての熱量が、一極集中的に股間に収束していく。兵太の笑顔に、欲情している。
「た、確かに、文章としては、その、表現力が豊かというか、う、うむ……」
 どうやら一篇を読み終えたらしい智子は、顔を赤くしたまま、文庫本を机に戻した。
「でしょ?」
「な、なるほど。こういう方法もあるのか……」
「はい?」
「い、いやいや、なんでもない」
 智子の呟きは、明確な形を取ることはなかった。
「お、面白いとは思うが……さすがに、部誌には載せられんジャンルだな」
 話を、現実に持っていこうとする智子。
「ワイもそれはようわかってます。部誌向けには、恋愛小説を書かせてもらいますわ」
「う、うむ。それがいいだろう」
「いつでも貸しますんで、御用の際はお気軽に」
 そう言って、文庫本を鞄にしまう兵太。ふたみは、さっきの小説の続きが気になって仕方ない。しかし、智子も美野里もいる状態で、貸してほしいとは言い出せない。
さきほどは、小説の世界に没頭していたので気がつかなかったが、これだけの他人を前に、官能小説に読みふけるというのは、ひょっとして異常なことではなかったか。美野里の不安げな表情が、それを物語っていたのではないだろうか?
彼女の中で巻き起こる不安は、しかし、すぐに振り払われた。
「ふたみちゃん、すごいね〜」
 美野里が、しきりに感心している。
「私、恥ずかしくて、ダメだ〜」
 どうやら彼女も、一部は読んだらしい。


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