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『Twins&Lovers』
【学園物 官能小説】

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『Twins&Lovers』-179

「みんなで、行こうか?」
図ったように今日は、いい天気でもある。
「いいね」
すぐに、弥生が乗った。勇太郎も兵太も、ふたみも異存はない。
「おでかけー♪」
「おでかけー♪」
麻奈と美奈に至っては、すでに外に出るのが嬉しくてはしゃいでいる。
「じゃあ、準備して、みんなで行こう」
勇太郎が場をしめて、みんなで簡単に準備を済ませてから安堂家を後にした。





外に出ると、春の心浮き立つ匂いと青空が待っていた。
弥生はそんな青白く透き通る空を見上げてみる。
(きっと、見てるんだろうね……)
仲良く並んで道を歩く、今の家族たちを。
ふと、過去の記憶がまぶたの裏に降りた。
父の郷市と自分。叔父の郷治と従弟の郷吉。いつか幼い頃、今のように連れ立って町を歩いた思い出が、様々な一瞬を並べ立てて弥生の胸に去来した。
「あ……」
 風が吹いた。春をのせた暖かい風が。
それは、弥生の中にある思い出をさらうようにして空へと高く舞い上がる。
「おばあちゃん」
ひとみの声に導かれ、視線を戻したその先には、たくさんの優しい眼差しが自分を待っていた。
「ああ、ごめんね」
「大丈夫ですよ。時間はあるから、ゆっくり行きましょう」
「さ、おばあちゃん、いこう」
勇太郎とひとみの優しさ。
「おでかけー♪」
「おでかけー♪」
麻奈と美奈の愛らしさ。
「久々に、大人数でセンセのトコに行くなぁ」
「おじいちゃん、びっくりするかもしれないね」
ふたみと兵太の幸福。
それら全てが、弥生にとってはかけがえのない財産なのだ。
(今日も、いい日だね)
日差しの暖かさに、世の春を思った。


 想い出は空に、微笑みは傍に、幸せは永久(とわ)に……。
春はいま、始まったばかりだ。



―了―


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