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年上の男
【女性向け 官能小説】

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9.-1

「プレゼンの準備、大変だっただろ?」
「はい…。でもこんな機会頂いて…ありがとうございます…。」
大事なプレゼンを任され、この1週間はその準備に追われてきた。次長とこうして二人きりで出張するのは、もちろん初めてだ。
「あの、これ…。」
バッグから取り出した、アイロンのかかった次長のハンカチ。
「ああ、洗ってくれたのか、ありがとう。今日うまく行ったらうまいもの食いに行こう。」
ガイドブックを見ながら、膝の上にかけたブランケットの下に手を差し入れてくる。ブランケットの内側で、次長の手に上から手を重ねながら、プレゼンの資料に目を落とす。

「お疲れ様、上出来だったよ。上手上手。」
「次長…、なんか褒め方変ですよ…。」
そうは言っても、やはり緊張感と重圧から解放され、気持ちが晴れ晴れとしてくる。普段の生活圏を遠く離れた場所で、次長と二人、ビールで乾杯していることも、一層非日常感を際立たせる。
「ご褒美、なにがいい?」
「ご褒美…?」
「思いつかないなら、俺が勝手に選ぶけど。」

「どれでも好きなの、選んでいいから。」
(ご褒美って…下着…。)
今まで男性と二人でデパートのランジェリー売り場に来たことはないし、そもそも男性と一緒に自分の下着を選ぶこと自体、抵抗を感じる。表情を曇らせたまま戸惑っていると、次長は勝手に陳列された際どい下着を手に取り、下着と志織の身体を見比べている。
「ちょっ…、やめてくださいっ…。」
「俺に選ばれるのが嫌なら、自分で選んだら?」
仕方なく、出来るだけ地味目の奴を手に取ってみる。
「これは…?」
「ちょっと、地味かな。」
「次長、どんなのがお好きなんですか…?」
「んー…あんまり下品じゃないの?」
スーツ姿でこうして並んで下着を選んでいるのって、どう見えるんだろう。でも、知らない土地だとあまり人の目も気にならなくなってしまう。最初は恥ずかしさが勝っていたが、だんだん楽しくなってきてしまう。
「それ、いいんじゃない?」
白い生地に紺の薔薇の刺繍があしらわれた下着、シンプルで上品だけど、すごくセクシー。
「でも、高いですね…。」
「いや、それにしよう。せっかくだから色違いで買おうか。試着は?」
「試着は、大丈夫です…。」
結局、薦められるままに、白地に紺糸の刺繍と、紺地に白糸の刺繍の色違いの2組の下着をプレゼントされた。
「次長、ありがとうございます…。すみません、高くて…。」
「女性の下着は結構高いよな。でも、下着は大事だよ。」
「はあ…。」
「じゃ、近くに有名な神社あるみたいだから、お参りして行こうか。それから飯にしよう。うまい水炊き屋、予約してあるから。」
志織はビジネスバッグと2組の下着が入った紙袋を手に、次長の背中を追いかける。


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