第25話-1
騒がしい宴会が終わってから2時間以上が経って、旅館は静かな夜を迎えていた。
今回の旅行に参加した社員達は全員がすでに各部屋へ戻っており、ホールや大浴場には旅館のスタッフ以外の人間は見当たらない。
皆酒が入っているから、この時間ならもう寝ている者が殆どだろう。
そんな中、近藤はひとり、旅館の階段をゆっくりと上って最上階へと向かっていた。
そして階段を上りきると、奥にあるこの旅館で一番高級な部屋の前で立ち止まり、ドアに耳を当てた。
『アンッ!ハァンッ!あっあっいっンッあんっ!』
部屋の中から漏れてくる女の喘ぎ声を聞いて、近藤はニヤっと笑みを浮かべた。
「へへ、やってるやってる。弱みを握っているとはいえ、あの菜穂をこうもあっさり堕とすとは、さすが天野部長ってとこか。クックック……」
近藤は笑いを堪えられない。
「小溝ぉ、お前が呑気に寝てる間に菜穂は大変な事になってるぞぉ。ハハッ、いい気味だぜ。」
そう呟きながら、近藤は自身の股間がムクムクと硬くなっていくのを感じていた。
「それにしても菜穂のやつ、部長相手に随分とエロい声を出しやがる。」
過去には好意を寄せ、自分の物になると思っていた女の喘ぎ声。
あの穏やかな性格の菜穂が、天野の凶悪なペニスに貫かれているのを想像すると、黒い興奮が沸々とわいてくる。
――部長は菜穂の事をかなり気に入っていたからな、今夜はお裾分けはないだろうが……へへ、まぁそれは次回のお楽しみって事にしておくか――
部屋の中では天野と菜穂の性行為が続いていた。
一回目のセックスを終えた後、少しの休憩を挟んでからすぐに2回目のセックスは始まった。
全裸で壁に手をついている菜穂を、天野が後ろから立ちバックの体位で激しく突いている。
「あっあんっハァ…あっあああっ!またイクっ!イっちゃうっ……あっハァンッ!」
もう何度目の絶頂だろうか。達すれば達する程身体は敏感になっていき、イキやすくなる。
「ハァハァ……もうダメです……立ってられない……ハァ」
菜穂が下半身をガクガクと震わせながらそう訴えると、天野は繋がったまま菜穂を無理やり歩かせてベッドに上げた。
そして今度は天野が仰向けになると、その上で菜穂に騎乗位の姿勢を取らせた。
「ほら、奥さんも腰を動かすんですよ。」
絶頂の後はいつももう十分、もう解放してほしい≠ニ思うのに、それでも天野の男根を挿入され続けていると不思議とまた淫らな気持ちになってくる。
溜まっているんでしょう?色々と
天野に言われた通り、とんでもない量の性欲が菜穂の身体の奥には溜まっていたのかもしれない。
半ば強制的にセックスという方法で抑えていた蓋を開けられると、肉欲が止め処なく溢れ出した。
そしてそのセックスの中で初めて知った、女としての悦び。
それはもちろん幸せとは違うし、菜穂には夫への愛情もある。
しかし絶頂する度に頭の中が真っ白になって、もう何もかも、智明の事さえ考えられなくなっていた菜穂は、本能が欲するままに天野に与えられえる快楽に溺れていた。
「そうです奥さん、自分の好きなように動いていいですよ。何も遠慮する事はありませんから。」