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バリ島奇譚
【SM 官能小説】

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バリ島奇譚-2

「結婚なんて考えてもいなかったわ。彼って離婚歴があるけど、彼が結婚する以前から私は彼を
知っていたの。もうかなり昔のことで、舞子さんがクラブをやめた頃だったかしら。あの頃、初
めてバリ島に旅行した時に彼と出会ったのが最初だったわ。そのとき彼は自分がマゾヒストであ
ることを告白し、私は彼からプレイを求められたのよ…」と、感慨深げに言いながら、微かな
笑みを浮かべたユリエさんは、よく手入れがなされた指先に煙草を挟む。そのとき、不意に彼女
の瞳の中に漂った小さな妖光が、私の中にゆらめくように忍び込んでくる。私はその理由に気が
つくことはなかった。

エアコンがよく効いた室内には、モーツアルトのピアノ協奏曲の優雅で繊細な旋律が流れていた。

「こんなことってあるんだって、彼との不思議なつながりを感じてしまうわ。十年以上も前に出
会った彼と一年前に渋谷のピアノバーで偶然に会ってしまったのよ。彼はそれなりに歳をとって
いたけど、端正な顔立ちは以前と変わってはいなかったわ。もちろん初めて出会ったときは、旅
先でのプレイの関係だったし、恋とか愛なんて考えてもいなかったわ。それに当時の彼には結婚
を決めた女性がいたのね。でも、その女性とも七年前に離婚している…」

私は結婚したら彼とプレイをするのかと冗談交じりに尋ねてみた。

「ええ、考えているわ。究極のプレイをね。以前、舞子さんに話をしたことがあるわね。私は結
婚相手に求めていることがあるのよ。そして、彼はそれを受け入れることを約束してくれたわ…」

ユリエさんの究極のプレイ…それは、男性器の去勢だった。彼女が求めているものは、あくまで
ユリエさんだけに隷属する心を肉体の中に封じ込めた、一切の男性器を去勢された男だったのだ。

「彼の男性器はすべて切り取ってもらうわ。過去の女のものが滲み込んだ彼のペニスなんて、私
には必要がないのよ。今日は、ぜひ私のフィアンセの写真をあなたに見てもらいたくて…」と
言いながら、ユリエさんは高価なハンドバックの中から一枚の写真を取り出した…。


―――


クリニックの地下の手術室のライトが、男の裸体を眩しく照らし出す。
男はすでに麻酔で深い眠りについていた。全除精術。ユリエは、目の前の男にこれから完全去勢
の手術を施す。陰茎と睾丸のすべてを取り除くのだ。小麦色に日焼けした全裸の彼は、手術台の
上で両手と両脚を伸ばし、手首と手足をベルトで固定されていた。

剃りあげられた陰毛の地肌が青々とした光の雫を孕み、ねっとりとした光沢を放つペニスが夢精
で放出した精液でねっとりと濡れていた。麻酔で眠りについた男は、まるで去勢に甘美な夢を
抱いたように男性としての最後の精を放出した。すでに射精を終え、萎えているというのに端麗
な輪郭を保ったペニスの鈴口がこれから死を待つ小鼠の眼のように潤んでいる。

ユリエは手術用の手袋を嵌めると、鏡面のような光沢を放つ鋭いメスを手にする。そして、彼の
ペニスの付け根にゆっくりとメスを這わせ始める。ぬるりとした陰袋にナイフの腹を押しつける。

メスの氷のような冷たさに、深い眠りに陥った男は無意識にペニスを蠢かせる。肉幹に這わせる
メスの腹に、ペニスの濡れた包皮が粘りつき、苦しげに喘ぐ。ペニスの微かな血の流れがメスの
先端に伝わり、蕩けるような甘い快感となってユリエの中を緋色に疼かせる。そして、生肉のよ
うな紅色の亀頭を淫靡にメスの先端でなぞると、色素が斑になった亀頭の先からは溶けた精液の
雫が垂れる。


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