〈消えない烙印〉-7
『さあ、今日の奥さんはどんなブラジャーとパンティーを着けてるのか……皆さん“見たい”ですよねえ？』
「さッ…触らないでッ……嫌だあぁ!!」
『早く縛り付けちゃってぇ！ウフフッ…ほらほら、暴れたら危ないわよぉ？』
女達の要望のままに脅迫者達は恭子に襲い掛かり、トレーナーとジーンズを身体から抜き取ると、そのままベッドの上に放り投げて手足を押さえ付けに掛かった。
『ああんッ真っ白い下着ぃ！私、嫌いじゃないわあ』
「離してッ!!んぐぎッ!?い、痛い!!痛いってばあッ!!」
『白い肌に黒い革が……ウフン…素敵だわあ……』
ベッドの上に寝転がされ、無我夢中で暴れる恭子の前方の鏡には、拘束具を手にした脅迫者達の群れと、其れを見守る女達の集団が反射となって写し出されていた。
後ろ手にされた両手は、伸ばされたままで長い革袋を被らされ、ベルトによってギッチリと拘束されてしまっている。
そして更には脚にまでも革袋を穿かせられ、屈曲させられてベルトで締め上げられていった。
「はッ…外してッ!!嫌…嫌あッ!!」
天井の鏡の中の自分は、まるで両腕を失い、膝から先の脚を切断されたかのような姿となっていた。
そして、いよいよ服を脱ぎ出した女達は、病的なまでに痩せた身体や弛みきった下っ腹を曝け出して恭子を捕らえに掛かる。
『ほぅら、やっぱり恭子ちゃんには赤い首輪よねえ？ウッフフフ……よく似合うわあ』
「ひッ!なに考えてんのッ!?やめてよ変態ぃッ!!」
下着姿に真っ赤な首輪を付けられると、いっそう恭子は狼狽えを強めた。
この女達は同性愛者というだけでなく、あの変態オヤジと同じ“臭い”が感じられたからだ。
悲鳴をあげて逃走を図ろうと足掻くも、首輪は既に握られてしまっていたし、両の脚の拘束ベルトまでも掴まれてしまっていては、もはや其れは不可能であった。
『このシンプルな下着、まるで女学生みたい……フフ……木綿生地の柔らかい触り心地が私は好きだわ……』
「おッ女のクセに私の身体なんかに…ッ!!ちょっと見ないでよ、この変態ぃッ!!」
『ねえねえ……このモリマン、生で見ると凄くない？おチ〇チンでも入ってるみたいよぉ？』
恭子は自分の身体を見られてしまう事に、さほど抵抗感も嫌悪感も感じなくなってはいた。
何度となく弄ばれ、見世物にされ続けてきたのだから、それは無理からぬ事でもある。
それでも恭子は身体を隠そうとした。
それは“昨日の自分”を恐れていたからだった。
何の躊躇いもなく子宮内部に射精しようとする強姦魔に、恭子は抱き着いてしまっていた。
異性としての魅力すら皆無で、それどころか愛の欠片すら存在しない男に、その悍ましき欲望に同調して自分から快感を共有したいと縋った……あの汚ならしい自分が今日もまた顔を覗かせ、こんな変態丸出しな女達に対しても身悶えて醜態を曝してしまうかもしれないという恐怖が、頭の中をグルグルと回っていたのだ……。