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悪徳の性へ 
【学園物 官能小説】

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〜 額縁 〜-2

 ワタシはクルリと踵をかえし、寮長に話しかけた。

「寮長、大変申し訳ありません。 本来なら御挨拶を頂くところですが、そのまえに少し宜しいでしょうか」

「ん。 よろしくてよ」

「新入生の補習のせいで、B30番が後輩指導できないという不手際を犯してしまいました。 この件について、どうすればいいかご教示いただければと思うのですが…」

「教示もなにも、進行は貴方のお仕事でしょう? それにさっき、自分に任せて欲しいと言ったんだし、副寮長の貴方にお任せいたしますわ。 存分に指導なさい」

「はっ。 ありがとうございます」

 脳裏をかける過去の記憶。 こういう時に甘い指導は禁物だ。 新入生の前だから手加減するよりも、逆に新入生の前だからこそキチンとした対応が寮を差配する立場には求められる。

「B30番。 右の『額縁』に入れ」

 食堂には『額縁』と呼ばれる仕掛けが3か所ある。 本来は絵画や写真を収めるための、木製あるいは金属製の縁どりだが、寮でいうところの『額縁』は違う。 近いイメージをあげるならば、愛玩動物ショップにしつらえたショーケースが適当だろう。 壁に1.5メートル四方のガラスが嵌めこまれていて、外からは中が丸見えだ。 ガラスは開き扉式になっていて、外からオートロックでカギがかかる。 ガラスの向こうには人間一人、立つにしろ座るにしろやっとはいれるスペースがあるが、白一色の内装のために単なる壁の窪みに見えなくもない。 窪みと異なる点は、ガラスの上にホワイトボードの『プレート』がかがっていて、文字を書けるようになっている所だ。 半透明のプレートなので、書かれた文字は左右反転するものの、内側からでも読めるようになっている。 

「ついてこい」

「はい」

 静かに頷くB30番。 足取りも落ち着いている。 既に寮生として1年を過ごしているのだから、このくらいで動じるわけもない。 食堂正面に3つ並んだ額縁のうち、右の小さ目なガラス扉に手をかけると、音もなく開いた。

 ワタシは顎でB30番の胸元に咲いたリボンを示す。 額縁の中身に制服は不要だ。 目で頷いて、B30番はミニスカートを落とし、返す手練で上のミニブラウスを脱いだ。 サッと畳んで床におき、靴下と靴も脱いで揃える。 入寮時より一回り大きくなった胸と、相変わらず閉じた股間の土手から僅かにはみだした具を露わにしながらも、平然と胸をはるところに成長を感じる。 

「よし。 中で四つん這いになれ」

「はい。 失礼します」

 もぞもぞ、もそもそ。

 決して小柄とはいえない身体を、言われた通りに手足をついたところで、

 がちゃん。

 ワタシはガラス扉を閉じ、無機質な響きが教室に響く。 オートロックがかかり、ガラス扉を開くには誰かがロックを外すしかない。 内側で四つん這いをするB30番は、姿勢を保ちながら目線をプレートに注いでいる。 もったいぶるつもりはない。 ワタシは無造作にホワイトボードマーカーで『電柱に小便する牝犬』と書いた。  

 すぐさまB30番が動く。 狭いガラスの中で身体をよじり、四つん這いのまま食堂に面した側の脚をグイッと持ち上げると、水平を通り越して太腿同士が150° 広がった。 閉じていた土手がぱっくり開き、隠されている持ち物が、小陰唇は勿論膣口のひだまで晒される。 掲げた足が爪先までピンと伸びたと思うと、膣口の上、尿道口からB30番は勢いよく小水を放った。 小水はすぐにガラスとぶつかり、黄ばんだシャワーが弾かれて、尻やら背中やらに水滴がつく。 中には排水溝などあるわけもなく、ガラスから垂れて落ちた小水は行き場を無くして水溜まりをつくる。 排泄物特有の、アンモニアの生暖かい香りが内側に充満していることだろうが、しっかり密閉してあるので外には香りなど届かない。  

 鼻をつく匂い、足を限界まで持ちあげる肉体的負担、内臓を全員に晒しながら排泄する屈辱。 しかしB33番は感情を表に顕わさず、ただ内装を見つめている。 その様子はまさに『額縁』に収まった絵画の1シーンといえた。


 ……。

 『額縁』とは『タイトル通りの姿勢を内部でとる』という指導である。 今回は行為そのものをタイトルにしたが、表情や仕草に注文をつけるタイトルもある。 例えば『絶頂したあとの表情』であるとか、『アへ顔ダブルピース』だとか、なんでもありだ。 中に納まった被写体は忠実にタイトルを再現し、十分に再現できたところで『額縁』から解放される。
 『額縁』の辛さは、ポーズの恥ずかしさや表情の辱めでは決してない。 
 まず閉鎖空間に密閉される点だ。 換気扇で空気が循環しているとはいえ、中は蒸し暑く、息苦しい。 しかも自分がいつ解放されるかは他人まかせで、大抵は3時間ほどで解放されるのだが、場合によっては『姿勢が甘い』『表情が悪い』『見栄えがしない』という理由でずっと解放されないことだってある。 先が見えない中で閉じ込められる恐怖は、経験したものでないと分からない。
 純粋に肉体的な負担もある。 無茶な姿勢は当然として、短時間であれば余裕な体勢も、絵画である以上動いてはならないのだから、筋肉が硬直してしまうのだ。 ジッとして動いてはいけないというのは、それだけでかなりの試練だ。 その上絵画を演じる間は水分補給もできないし、排泄といった生理的欲求も抑えねばならず、並大抵の我慢では利かない。
 『額縁』という指導は、タイトルや時間で厳しさが大きく調節できるため、寮ではよく用いられている。 今回の『電柱に放尿する牝犬』は、比較的優しいものといえる。



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