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たぎる
【その他 官能小説】

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たぎる-11

(11)

 どういう結果になるか、怖さはあった。だが、もう決心したのである。体も想いを溜め込んだ心ももはや限界にきていた。

「正彦。最近マッサージしてくれないじゃない。たまにはしてよ」
食事をしながらつとめてさしげなく、しかしやや強さを含ませて言った。
「なんだか肩が張るし、腰も重いの。あとでやって」
正彦の視線が木綿子の胸のあたりに注がれた。
「うん。……いいよ」
「久しぶりだからたっぷりね」

(これで接触ができる。あとは、いかに正彦の気持ちを煽るか……)

気は急く。だがそれを抑える苦しさは今はない。はっきりと切っ掛けができたことで昂奮がやわらかく膨らんできていた。

 後片付けを済ませ、明朝のお米を研いで炊飯器をセットし終わっても8時すぎ。
(まだ早いか……)
と思いながら、余裕はない。
「正彦、シャワー浴びちゃいなさいよ」
「いま?マッサージするんでしょ?」
「そうよ。長くやってもらうんだから。先に浴びてきて。ゆっくり時間をかけるのよ」
よく考えると意味が通らないことを言っていたが、正彦は黙って立ち上がった。

 その間に布団を敷き、箪笥の抽斗から昼間用意しておいたネグリジェを出した。実用的なものではない。寝まきというより、夜の生活に使用する目的のもので、若い頃夫がどこかで買ってきたものである。
(何度も使った……)
 ベビードールほど短くはないが膝が隠れるほどの丈でシースルーである。むろん子供たちに見せたことはない。それを着ることに、迷いは過った。さすがにやり過ぎか。……しかし、決めたのだ。
(中途半端はしたくない)

 正彦と入れちがいに浴室に向い、
「出たら頼むわよ」
「わかった。上にいるから、呼んで」
 振り向きもせず応える正彦の体の大きさを改めて感じた。


 髪を洗い、体も入念に磨くように洗った。秘部に触れると腰が抜けるほどの刺激が走った。
 脱衣所の鏡に映る自身の裸体は全身が仄かな桜色に染まっている。お湯のせいではない。昂揚した想いが滲み出ているのだった。
 下着を着けずにネグリジェを着てみた。顔が熱くなった。乳首が透けて見える。乳輪のピンク色さえわかる。デルタの秘毛が影のようだ。後ろを向いて尻を突き出してみた。くっきり浮き出た尻の割れ目はほとんど裸である。
(下だけ、穿こうか……)
迷ったが、強く振り払った。

 歩くと乳房が揺れる。薄い布一枚の下半身は素裸の感覚だった。
とりあえず部屋に入り、気持ちを落ち着かせようとしたが、無理だった。
 ドアを開け、2階に向かって声をかけた。
「正彦、出たから」
「うん、すぐいく」
その返事が妙に大きく聴こえて慌てた、急いで布団をかけてうつ伏せになった。 
 
(降りてくる……)
 足音はドアを通り過ぎて隣のリビングに入っていった。
「あれ?」
「こっちよ。部屋のほう」

 顔を覗かせた正彦は小さな苦笑をみせた。
「布団に寝ちゃって。本格的にやれってこと?」
「そうよ。たくさんやってもらって、そのまま寝ちゃうかも」
「もし寝ちゃったらやめるからね」
「わかったわ」
「どこからやればいいの?」
「肩からかな。それから腰。布団とって」
「はいはい」
布団を剝がされて一瞬体が硬直した。
(裾が捲れた!)
おそらく、尻の半分ほどははだけている。
 直そうにも体が動かず、じっとしているうちに自分でも不思議なほど体が弛緩してきた。
(どうせ透けているんだ)
見せるためにしたことだ。

 正彦は?
うつ伏せだから様子はわからないが、動く気配がない。
(きっと露になった尻に釘づけになっている)
衝撃を与えた。……そう思ったら少しずつ余裕のようなものが生まれた。
(セックスなら、あたしの方が……)
強気な気持ちまで起こってきた。

「腰からでもいいわ」
「……うん……」
上ずったような力の抜けた返事だ。
 腰に正彦の両手が触れた。
(感じる……)
「もっと押して」
膝立ちになったのか、掌に力が加わった。
「それじゃ弱いわ。力が入らないでしょう。跨ってやって」
返事はなく、間があってからちょうど太ももの辺りに正彦の体重がかかった。

(密着している!)
そのまま被さってきてもいい。
 圧迫は腰の一点を規則的に押してくる。マッサージより、
(あたしの体を見ている)
そう思った。
確実に彼の息遣いは速くなっていた。木綿子もそうだ。
(お尻、触っていいのよ……)
昂奮しているはず。カチカチに勃起しているはずだ。
正彦は単調な動きを続けている。

「もう少し下」
正彦は無言でわずかに手の位置を移動する。
「もっと、下のほう」
さらに下がって、腰というより尻の丸みに差しかかっている。

「お尻の筋肉、張ることない?」
「……たまには……運動したりすると……」
「お母さんは運動しないけど、けっこう動いてるのよ。揉みほぐしてくれる?」
誘うように尻を左右に振る。
「どうやって?」
「やさしく揉めばいいのよ。正彦、お願い」

(ああ!)
遠慮がちに触った感触が貫く快感を生んだ。
 大きな手が尻肉に張り付き、鷲掴みにされた。
(これは!)
肉を掴んだ形にはなったが、それは意図的にクレバスを開いたのだと思った。
(ああ、お尻の穴も、アソコも見られている)
反射的に尻をすぼめた直後、
「ああ!」
正彦が木綿子の尻にむしゃぶりついてきた。
「うう!」
顔は裂け目に押しつけられ正彦は呻きを上げながら木綿子を掻き抱いた。

(落ちた!)
木綿子は顎を上げて背を反らせながら脚を開き、正彦の衝動を受け止めた。
 

 


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