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たぎる
【その他 官能小説】

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たぎる-12

(12)

 木綿子も正彦も言葉はない。ただ2人の息遣いと時折の呻きが交錯した。
(何も言わないほうがいい)
何か言葉を挟めば我慢の限界を突き破った正彦の行為が遮断することになるかもしれない。

 熱い正彦の息がせわしなく尻と太ももに吹きかかってくる。頬を押しつけ唇を感じる。
(裂け目を、狙っている)
木綿子はうつ伏せの姿勢のまま脚をやや広げ、尻を上げた。
(見えるはず)
とっくに愛液は溢れて陰毛にまで液垂れしている。
 正彦の頬擦りが止まった。
(見ている)
木綿子はさらに腰を上げて尻を突き出した。
 淫靡な女陰が震えるように蠢くのがわかった。

 枕に押しつけていた顔をよじる。
垣間見たその顔は無表情に見えた。茫然としていながら見開いた目は驚愕に固まっていた。さらに引き込むのは今だと思った。
 体を反転させ、仰向けになった木綿子は正彦の見守る中、ゆっくり脚を開いていった。淫液が粘着音を立てた。そしてベールを取るように乳房をあらわにした。

 見上げる木綿子。見おろす正彦の目は目まぐるしく動いている。ぱっくり開いた割れ目、豊な乳房、大きな尻、その視線は舌先のように木綿子の体を這った。
(ああ!正彦……舐めていいのよ。紗枝にするみたいに)
波打つ胸を迫り上げながら半開きの口から舌を出したのは無意識の仕草であった。

 木綿子がやおら起き上がったのは正彦の股間を目にしたからだった。
布地がはち切れんばかりに勃起していた。
 彼の腕を取り、無言で引き寄せ、布団に寝かせた。
「マッサージ、してあげる」
何かに憑かれたように正彦の下半身に魅入られた。

 気がついたらパジャマを脱がしていた。夢中で引き下ろしたので、その時正彦がどんな顔をしていたのかわからない。ひとつ、先端がパンツのゴムに引っ掛かった時、腰を浮かせたようだった。

 腹に張り付くように漲ったペニスを眼前にして初めて正彦を見た。
訴えるような弱々しい眼差しが木綿子に注がれていた。
 ペニスが不規則に跳ねている。釣り上げた魚みたいに。……

(これが、正彦の……)
形は、夫に似ている。少し細身だが、裏筋を見せて血管を浮き出させた幹は十分に逞しい。
 これを紗枝が舐め、体内に埋めた。
(娘には、負けない)
 幹を握る瞬間、頭を上げた正彦と視線が絡み、力をこめて掴むとその顔が歪んだ。

(硬い……すごい)
はね返してくる脈動。夫にはない勢いが満ちている。
(フェラチオはこうするのよ)
裏筋に舌を当て、包むように亀頭を含み、奥へ呑んだ。
「ああ!」
正彦が呻く。堪えるように顔を歪ませて。

(正彦のペニスを、咥えている)
木綿子はその形をたしかめ、いとおしむように舐めた。
「感じる……感じちゃうよ」
ペニスだけでなく体も硬直を繰り返す。
(快感が駆け巡っているんだ)
口をすぼめ、大きく上下を加えた。
「あ、あ、あ、」
のけ反ったおなかに引き締まった腹筋がすばらしい。
木綿子はネグリジェを脱ぎ捨てると乳房を揺らしながら重なっていった。

 正彦の腕が木綿子の背中にがっしりと回った。と、次の瞬間、いとも簡単に反転させられて木綿子は下になっていた。そして息つく間もなく正彦の顔を胸に受け、乳房は揉みしだかれた。
「ああ!いい!」
余りの快感に声が漏れて正彦の頭を抱えて伸び上がった。
 乳首を吸われるに及んで悲鳴をあげてしまった。
「ひぃ!」

(激しい!強烈)
痛いほど乳首を吸ってくる。だが乱暴な荒々しさが木綿子の興奮と合致した。
 若い体を迎える体勢になったのは肉欲に見舞われた無意識のことである。
いつか脚の間に正彦の体を挟み、先端を宛てようと腰を振っていた。ぬめりは十分。ペニスの硬度は根菜並みである。それに正彦も突き立ててくる。結合するのに時間はかからなかった。

「あう」
「うう!」
ペニスは一気に突き刺さった。
 なおも押しつけてくるのを木綿子も脚を絡めて引きつけ、締め上げた。
「ううう……」
唸った正彦は上体を反らせたあと、ふたたび唸り、大きく息をついて動きを止めた。堪えたようだった。

 2人とも息は乱れている。息が吹きかかるほどの間近で2人は見合った。
(一つになっている!)
正彦のペニスは納まってもなお、微妙に動いていた。
 息子とのセックス。いや、正彦という『男』と体を合わせている。快感の塊が急速に膨らんでいる。股間を打ちつけ合えばほどなく達する感覚になってきている。
(だから、正彦は『男』……)
  
(眩しい……)
なぜか正彦の顔が眩しかった。
(正彦は、どんな気持ちなのか)
目を閉じると唇が重なってきた。舌が入ってきた……。
(知ってるのね……。でも、これは知らないでしょう)
唇を合わせたまま、木綿子は腰をゆっくり煽りはじめた。同時に括約筋を目いっぱい使って締め上げる。
 唇を離した正彦が顎を突き出して顔を歪めた。
(こんなこと、紗枝はできないでしょう?)
木綿子は正彦を引きつけ、自分も昇りつめる動きに入った。 

「ああ、出そう」
突然打ちつけてきた正彦の赤い顔を見て木綿子も合わせて煽った。
「出ちゃう!」
「出して!そのまま出して!」
無我夢中で叫んでいた。
「うう!木綿子!」
(!……正彦……)
胎内にはっきりと放出を感じた。

 


   


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