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プラネタリウム
【ラブコメ 官能小説】

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J-4

15時。
ヤスタカはまだレールを繋いで、あーでもないこーでもないとぶつぶつ言っていた。
「ヤスタカ。おやつあるぞ。食うか?」
「食べるー!」
おやつという言葉に弱いところは、子供だなぁ。
端に寄せられたテーブルに3人で集まる。
陽向とヤスタカは柔らかいクッションの上に座った。
湊は地べた。
真っ白なお皿に乗せられたバウムクーヘンをフォークに刺し、大口でそれを頬張る。
「牛乳飲むか?」
「飲むー!」
湊は「へいへい」と言いながら冷蔵庫に向かい牛乳を取り出すと、ペンギンの絵が描かれたグラスを持って戻ってきた。
いつだかに、水族館で陽向が買ったやつだ。
「うわー!ペンギンだぁ!」
「ヤスタカはペンギン好きなの?」
「うんっ!動物だったらね、ライオンの次にすき!」
「そーなんだぁ!あたしもね、ペンギン好きなんだよ」
「そーなの?やっぱりヒナタは分かってるよな!」
ヤスタカは嬉しそうに言うと最後のバウムクーヘンを口に含み「ヒナタ早くあそぼー!」とねだってきた。
「よーし、遊ぶか!」

その後はトーマスをレールに乗せて同じコースを何周も走らせ、ヤスタカが気に食わない所を微調整し、また走らせる……というのが2時間続いた。
さすがに疲れた。
子供の体力は計り知れない。
夕暮れも過ぎた頃、陽向は晩ご飯の支度をしにキッチンに向かった。
「湊。店長いつ来るの?」
「わかんねぇ。会議なんて定時じゃ終わんねーし、これからの話とかもあるからそれなりに遅くなるかも」
湊はレールを片付けるヤスタカを目で追いながら言った。
「そっか」
「そーそ。…ほれ、ヤスタカ!そっちの部屋のレール持って来い!綺麗にしねーと怒るぞ」
ヤスタカは湊の煽りにギャハギャハと笑い声を上げながら、本当に綺麗に片付けた。
お片づけの後は、湊のところではなく陽向の足元に来て「なに作るのー?」と可愛らしい声で足にしがみついてきた。
「今日はねー、カレー作るの。ヤスタカはカレー好き?」
「うんっ!」
「じゃあよかった。ここ危ないから湊と一緒にテレビ観ておいで」
「やだー!ミナトいじわるするんだもん!」
「ヤスタカの事が好きだからいじわるするんだよ」
「なんでー?」
「好きな子にはいじわるしたくなっちゃうの」
「じゃあヒナタはオレのこと好きじゃないの?」
「どうしてそう思うの?」
「だっていじわるしないじゃん、ヒナタ」
「あたしはいじわるできないの」
「なんでー?」
「なんでかなぁ?なんでだと思う?」
「んー…」
ヤスタカは黙りこくって陽向の足にしがみつき続けた。
「なんでかねー?」
「分からないからヒントちょうだい!」
「ヒントなんかありませーん」
「なんでぇーーー!」
「ヤスタカが思ったことが答えだよ」
「うーん…」
ヤスタカはカレーが出来上がるまで何も口にしなかった。
ただ、陽向のシャツの裾を掴んでついてくるだけだった。
「ヒナター」
「なぁに?」
「何作ってるのー?」
「サラダだよ。ヤスタカはお野菜ちゃんと食べれるの?」
「ヒナタが作るのならなんでも食べる!」
「偉いねー。それでこそ男だ!」
「あたりめーじゃん!」
「お野菜食べる子は一人前の男だよ」
陽向は笑いながらヤスタカの頭を撫でた。

「すっげー豪勢じゃん」
カレーとサラダとおまけにスープまで作った陽向を見て、湊は微笑んだ。
「ヤスタカはわかめスープが好きなんだって」
「へぇー」
「父ちゃんが作ったわかめスープ、おいしいんだよ!」
「そーか。父ちゃんのとは、ちと味は違うかもだけどな」
「ヒナタのわかめスープも好きになるもん」
「あー、そーですか」
3人で「いただきまーす」と手を揃える。
ヤスタカは真っ先にわかめスープを口にした。
「しょっぱーい!」
「あ…塩多過ぎたかな」
「これがヒナタのわかめスープかぁ!しょっぱい!」
「俺はこんぐれーのが好みかな」
「オレだってコノミ!」
「好みの意味分かってねーだろお前」
「いーの!」
楽しい食卓。
楽しい時間。
ヤスタカの一喜一憂する姿がたまらなく愛おしくて、幸せになる


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