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笛の音
【父娘相姦 官能小説】

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笛の音 2.-21

「こんな裸で抱き合っちゃったら、気にするほど考えられない」
 やっと唇が近づいてくる。軽く触れたあと、上下の唇をはまれた。有紗は涙で睫毛が振れそうになって、誰かのキスと比べてはあまりにも明彦に失礼だから彼の唇に集中し、自分から舌を差し入れていった。初めて卑猥なキスを交わした。かつて心を揺さぶらないキスだと思ったことも悪い気がしてきて、有紗は明彦の唾液を吸い取っては喉を動かして飲み込んでいった。
「有紗ちゃん……」
「ちゃん?」
 有紗は明彦の首に腕を巡らせると、照れた笑いを浮かべて至近に彼を覗きこんだ。「初めてです。ちゃん、なんて呼ばれたのは」
「じゃ、そう呼ぼうっと。俺の呼び方はどうでもいいけどさ、有紗ちゃんも、です、ます、は止めてよ」
 有紗は瞼を伏せて薄目で彼を見つめながら何度か唇をはみ、
「……きもちよくなったら、しゃべりかたも変わるかもしれませんよ?」
 と甘えた声で言った。
「試されてる?」
「エッチの上手さを? ……失礼ですね。そんな比べられるほど――」
 そこまで言って、胸の中を抉られたから息を詰まらせ、言葉を打ち切った。有紗は最後にもう一度キスをして、彼の体から離れていった。ベッドの横に置いていたバッグから携帯を取り出し息をつく。
「どうしたの?」
 いい雰囲気になりかけたのにまた離れていった有紗に、さすがに怪訝な声をかけてきた明彦と目を合わせず、スマホの画面をじっと眺めた。
「……携帯。してる時に、前みたいに震えたら、気になりますよね。だから切っておこうと思って」
 身を屈めてバッグに携帯を入れると、そのバッグをベッドのふもとに置いて明彦を振り返った。肌身を擦り合わせるキスのせいで体じゅうが火照ってきた。脚の間が特に。そして有紗の意に関係なく、ヒップの後ろにも妖しい期待感が渦巻いている。




 あの日、トイレの中で菊門を広げた信也の指が去った後も、その触れられた軌跡に何かが這いまわるような掻痒が渦巻いていた。ヒップの筋肉に力を入れて狭間を絞める程度では全く治まらなかった。いつかのラブホテルで襞壁の奥までふんだんに撒かれた媚薬は、背後の器官に塗られても同じように熱く蕩けるような効用を発揮してきて、しかしそれは媚肉を爛れそうなほど熱く疼かせた感覚とはまた違った、――性感と認めざるを得ない、狂おしいほどの疼きを背後にもたらしていた。
 眠れない。風呂に入った時に、シャワーをヒップに当てて洗い流したが、自分では怖くて指を挿れられなかった。それどころか湯を浴びることで体温が上がり、却って体の火照りが増してしまった。ベッドに入っても、掻痒は有紗を絶えず悩ませてきた。
 ギシリ、と廊下が鳴る。隣の部屋からは何も聞こえない。階下も静かだ。
 真実をひた隠しにして、おやすみなさい、とリビングに声をかけた時には洋子しかいなかった。
「……叔父さんは?」
「書斎でお仕事ですって。帰ってすぐ片付けちゃえばいいのにね」
 洋子と愛美が、とにかく早く寝るのを待っているのだろう。家の中が静まるや、すぐに部屋にやって来る筈だ。有紗はベッドの中で身を固くしてその時を待っていた。だが信也はなかなか現れなかった。背中にパジャマが擦れるだけでも熱い息が漏れる。何をしているのだろうと思ったが、有紗の方から信也を訪ねるわけにはいかない。そうしている間にも、際限なく掻痒が有紗の直腸を苛んでくる。
 目覚まし時計を引き寄せ、時間を見た。もう三時前だ。叔父は眠気に負けて眠ってしまったのだろうか……、そう考えて慄然とした。何を考えているのだろう。家族が眠るのを低劣な顔で待っている叔父の姿を、煩悶するかたわら物笑いの気持ちも混ぜて蔑んでいたのに、実は待望しているのは自分の方だと思えた。身を蠢かせると、ヒップの後ろを襲ってくる掻痒で花唇も潤ってしまっている。不浄の場所に図らずも媚薬を塗りこまれ、しかも目の前で排便を強要された男を待っているという屈辱的な状況で、とても現実として受け入れ難かった。しかし掻痒が限界に近い。背後の器官に指を挿れるのは怖くてできないが、蜜が滴っている場所ならば――。有紗がパジャマの中に指を差し入れようとしたまさにその時、廊下が踏み足に軋む音が聞こえたのだ。
 無音でドアが開く気配がする。フローリングを進む足摺が聞こえてくる。
 ベッドの上に丸まっている有紗の肩に手が添えて仰向けにすると、脚の上に馬乗りになってきた。何度も味わされた屈辱の重み。初めて姦された時が思い起こされて発狂しそうだ。しかし淫貪な両手がパジャマ一枚のバストを鷲掴みにし、ネットリと揉みほぐしてくると、下唇を噛んだ有紗の苦悩とは裏腹にショーツの中で蜜の潤いが増した。
「有紗ぁ……、遅くなってしまったなぁ……。待ちくたびれたかぁ?」
 正面から顔を近づけられ、横を向いた髪を舌で払われて囁かれる。夜中、家族も眠る家の中での息の多いヒソヒソとした声は、ラブホテルでの獣のような雄叫びより粘り気があった。
「は、はやく、……こ、これ、何とかしてっ」


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