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笛の音
【父娘相姦 官能小説】

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笛の音 1.-1

1.


 おめでとう、と持ち上がったグラスたちに囲まれて妹は満面の笑顔で礼を言った。夏の時点では「今のままでは危ない」だった予備校の評価を半年の間に覆し、第一志望の私大英文科に見事合格を果たした、その家族祝いだった。食卓に並べられた好物にはしゃいだ愛美と目が合うと、愛らしい瞳を垂らして、綻ぶ笑顔を更に緩ませた顔を返された。姉を信頼し、自分の合格そのものよりも、それを姉と分かちあえていることが嬉しいという様子だ。妹のそんな顔を見ていると、有紗も心が和んだ。
「……ほんとによくがんばったよね。愛美ちゃん」
 食事とワインが進む中、母の洋子が改めて感慨深げに言う。
「うん、お母さんもいっぱい協力してくれてありがと。それに、迷惑もかけてごめんなさい」
「何言ってるの、迷惑だなんて」
 洋子の目が赤くなっているのは、たまにしか飲まないアルコールだけのせいではないだろう。
 お兄ちゃんかお姉ちゃんいるでしょ、と家族構成をよく知らない人からでも一発で言い当てられるほど、愛美は昔から頼りなく、泣き虫で、いつも有紗を心配させた。そんな愛美が英語を憶え、将来はそれを活かして世界を相手にする仕事がしたいと言った時、有紗は心の中で愛美には無理なんじゃないかと思った。だが単なる憧れではない本気で目指す目標なのだろう、親に願い出て塾に通い、ひたむきに猛勉強した結果、嬉しい結果で姉を裏切ってくれたのだ。
「おねえちゃんも、いつも応援してくれたしね」
「私?」
 有紗はワイングラスを傾けながら、「愛美が頑張ったんじゃん。私、なにもしてない」
「ううん」
 愛美は襟元からナローチェーンを引き出すと喉の前でぶら下げてみせた。ひと粒の数珠が揺れている。
「おねえちゃんが買ってきてくれた合格祈願、ずっとしてたんだ」
 自分があげたお守りを、結んであった緒を解き、ネックレスに加工してまで肌身離さず持ってくれていたと今日初めて知らされて、有紗は胸がぎゅうと締まった。だが妹を前に瞳を潤ませるのも恥ずかしいから、
「それは単なる暗示。愛美の力なんだから、謙遜しなくていいし」
 と、澄んだ瞳を向けてくる妹から目線を逸らし、もう一度グラスに口をつけた。
「まあいいだろ。愛美はがんばった、みんな本気で応援した、それでいい」
 有沙が照顔を紛らわせようと飲み干したグラスに信也がワインを注ぐ。
「お父さんにも感謝してる。塾に行かせてくれたし、……それに入学金と学費」
 合格した大学は偏差値も高かったが、名門私立だけあって学費も高い。信也が有紗のグラスを満たすと、そのまま手酌で自分のグラスにも注いで、
「何言ってんだ。娘の学費を出すなんて、親なんだから当たり前だ」
 そう笑うのを、有紗はまだ揺れるワイングラスの水面を眺めながら聞いていた。愛美は目鼻から娘としての幸せが漏れ出て、えへへ、とはにかんでいる。
「――しかし、四月から大学生なんだから、愛美も、もうちょっと大人にならなきゃな」
 だが信也が続けてそう言うと、愛美ははにかみから一転、頬を膨らませて父を睨んだ。
「もー、私だってもう大人だよー!」
「いーや、まだ子供っぽい。なぁ、有紗?」
 急にこちらを向かれて同意を求められた有紗は、グラスの凪いだ水面に意識を持って行かれていたから、
「あ……、うん、そうだね」
 と、我に返って曖昧な返事をした。
「えー、おねえちゃんもヒドイよぉ。そりゃぁ、お姉ちゃんと比べられたら困るけど」
「……ま、大学に入ったら色々経験したらいい。何てったって大学生は人生で一番時間があるからな。世間じゃ大学生は遊んでばっかだ、なんて言われるけど、俺にしてみりゃ、友達と遊んだり、アルバイトにいそしむのだって、大事なことだ。絶対人生の宝になる」
「パパ、もう酔っ払ったの?」
 隣から茶々を入れた洋子に、信也はおどけた表情を返してから、
「友達も一気に増える。俺が今でも付き合っている奴らも、ほとんどは大学時代に知り合った奴らだからな。立派な人脈だ」
 と威張ってみせる。
「お父さんもいっぱい遊んだの?」
「ま、それなりに」
「なになに? どんなことしてきたか、ママも聞きたいわね?」
 組んだ手に顎を乗せ、首を傾げて覗きこんできた妻へ、
「……ま、勉強もちゃんとやったぞ? 俺は」
 信也が言うと、「あー、ごまかした」「ごまかしたね」と、愛美と洋子は顔を見合わせて笑い合った。
「でもね……」しかしすぐに愛美が真顔に戻し、「本当に、感謝してるんだ。……私、ちゃんと勉強するね。それに、お父さんがそう言うなら、いろいろ人生経験も積む。せっかくお父さんとお母さんが行かせてくれたんだもん」
 と言うと、信也と洋子が深く頷いた。
「……彼氏ができたら、ちゃんとママに紹介してね。パパには内緒で」
 漂った気恥ずかしい空気を紛らわすように洋子が言うと、おいおい、と信也が苦笑した。
「彼氏かー。そうだね、恋もいっぱいしよう」


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