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浦和ミュージックホール
【その他 官能小説】

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25歳、みどり再び-1

 それから二年・・・通いつめた浦和ミュージックホールのことを書いて投稿した雑文が編集者の目に止まり、俺は風俗専門誌の編集部に転職した。
 鉄工所時代は給料が安いこともあり浦和ミュージックホール専門だったが、今度は仕事として様々な風俗を回った。
 時代はバブル経済に向かって景気は上向き、様々な形態の風俗が生まれ、消えて行った、店の浮沈も激しく、老舗と言われるところでも時流に乗れなければ衰退し、新興の店でも時代に乗れば一気に伸びた。
 まだ二十歳そこそこだった俺は「体当たり取材」が持ち味、元々興味が尽きない分野、五年の間夢中で新しい風俗を追い回してレポートを書きまくり、俺は札幌から那覇まで走り回った。
 しかし、正直なところ、取材費がそれほどあるはずもない、大半は店からの取材依頼、気に入らなくても悪く書けるはずもなく、また、男の欲望の本質が変るわけでもない、目先を変えただけの新しい風俗・・・若さゆえに体の疲れはそれほどでもなかったが精神的には少し倦んできていた。
 そんな時、浦和での取材があり、目先だけを変えた店でイケイケなだけの女の子の味気ないサービスを受けて、これをどう書こうか頭を悩ませながら歩いていると馴染みのある街並みを歩いていることに気づいた。
 「ああ、このちょっと先にはあの劇場がある・・・」
 そう思うと編集部に返って記事を書かなければならないのにもかかわらず足は自然にあの劇場・・・浦和ミュージックホールに向っていた。
 
 劇場は五年前と変らずそこにあった。
 香盤を貼り付けた看板もそのままだ、そしてみどりの名もそこにあった。
 ただ、いつでもトリだったみどりの出番が変わっている、ミドリの出番は最後から二つ目、トリは「奇跡のロリータ娘・まり子」となっている。
 みどりは既に40代半ばに差し掛かっている、容色に衰えがでてきてトリの座を明け渡したのだろうか、それとも「奇跡のロリータ娘」がよほど・・・。
 気になって仕方がなかったが、とりあえず編集部に戻らないわけには行かない、後ろ髪を引かれる思いで駅へ足を向けた。

 俺の仕事に決まった休日はない、それから二週間後にようやく休みを貰って浦和に向った、いつもなら休みとなれば昼過ぎまで寝ているのだが、最初のステージ、11時半に間に合うように早起きをして・・・。

 この五年、出稼ぎの外国人女性が爆発的に多くなった、かつてはフィリピンなど東南アジアからが主流だったがここ数年は南米、特にコロンビアからの出稼ぎが多い。
 彼女達の過剰なサービスが問題となって新しい風俗営業法が国会を通り、施行が目前に迫っている、風俗産業には強い逆風が吹く事は間違いない、それゆえかここ1年程は過激さが加速する一方だ、蝋燭が消える間際の炎、時代のあだ華・・・そんな様相を呈している、香盤に出ている日本人の名前もみどり、まり子、陽子だけだ、「真性M女・陽子」の舞台はどんなものかわからないがおそらくは長く続けられるものではないだろう、みどりは続けられるだろうが既に40代半ば・・・浦和ミュージックホールの行く末は暗い様に思える・・・もっとも風営法が施行されると浦和ミュージックホールだけではなくストリップ劇場全体、ひいては風俗全体が衰退せざるを得ないかもしれないのだが。


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