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浦和ミュージックホール
【その他 官能小説】

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エピローグ-1

 『彼女達は今どうしているのだろうか・・・。』

 みどりは1985年の風営法施行直後に引退した、その引退興行、俺は東北に行っていて駆けつけられなかったが、なかなか劇的なものになったそうだ。
 古くからのファンが花束と一緒にみどりの誕生石の指輪を渡したのだ。
 「サイズが合うかどうかわからないんだけど、薬指用なんだ、それを右にするか、左にするか・・・急がなくてもいい、いつか返事して欲しい」
 みどりはその場でそれを左手に嵌めたそうだ。
 もっとも、サイズ合わせが必要だったそうだが。
なんでそこまで知ってるのかって? それは指輪の贈り主が俺の町工場時代の先輩だったからさ。

 まり子は風営法施行後、写真のモデルに専念した、そして数年後嫁に行った。
相手はまり子をスカウトしたカメラマン、これは調べるまでもなかった、そっち方面の情報は黙っていても入ってくる仕事をしているからね。

 里美は30代半ばまで踊り子を続けた、ディープスロートは生身の男を相手にしなければ法に引っかかることもなかったのでガラスのディルドを使って続けることができたからだ。
 踊り子を辞めた後の消息はつかめなかったが、つい最近、○○クラブのような大人数のユニットが人気になったのをきっかけにテレビ出演していたのを録画で見た、『なつかしのあの人は今』のような企画で当時のメンバーと一緒に出ていたのだ。
 ネームバリューにすがって芸能界にしがみついているような他のメンバーと違い、里美は踊り子であった事を堂々としゃべり、誇りに思っているようだった。
今はスナックをやっているという事はその時知った。

 ミキコは沖縄に巡業に出ているときにアメリカ兵に見初められて結婚し、今はテキサスに住んでいると言う、いかにもミキコのイメージにぴったりな土地なのが可笑しい、きっとテキサスで生き生きと暮らし、いずれ肝っ玉母さんになるに違いないと思う。

 淑江はAV女優にもソープ嬢にもならなかった、あのインタビューの後、フラワーアレンジメントを勉強して、風営法施行後すぐに花屋で働き始めたそうだ。
 結婚はしていないそうだが、淑江が花屋に居る姿を想像すると実にしっくり来るからそのうちそういう話も出てくるのではないかと思っている。
 おそらく淑江は恋人が出来ても彼に自分の経歴を包み隠さず話すだろうと思う、しかし、それがもし俺なら花屋での清楚な淑江と、ベッドでの何でも許して感じまくる淑江のギャップに幻滅するのではなく、余計に愛おしくなってしまうだろう、そんな男は必ず現れる、と確信している。

 いずみは大ヒットにこそ恵まれていないが、出す新曲はどれもコンスタントに売れている、息の長い歌手としてこれからも活動していくだろう。

 蘭は俺が思いついたエスニックダンスではなく、ヨガを学んでそれを生かしたステージで風営法施行後もかなり長く踊り子を続け、今はヨガのインストラクターをしているそうだ。

 陽子は・・・風営法施行後はしばらくAVに専念していたがそれも数年で引退した、引退の理由はわからない、その後の足取りを掴む事はとうとう出来なかった。
 体を壊した、という噂もあったがそうでない事を祈りたい。
 インタビューした時に、ボクサーやレーサーが引退する時のように「もう充分にやった、もうこれ以上は出来ない」と思えたらMから離れられるかもしれないと言っていた、そう言う心境になったのならいいのだけれど・・・。


 リリーを忘れてるって?
 ああ、つい忘れていた。
 実を言うとリリーこと瑠璃は家にいる、俺の家だ。
 なにしろ風俗ライターという仕事はあちこちに飛んで助平なことを追い求めなきゃいけない、そんな仕事を大目に見てくれるような嫁さんはそうそう居るもんじゃないだろう?


 浦和ミュージックホールの踊り子たちについて書いた本は、ベストセラーには程遠かったがそこそこ売れて、俺はその後風俗ライターを辞めてエッセイや小説を書いて暮らしている、売れっ子には程遠いがなんとか食うに困らない程度の収入はある。
 もう一本、それに匹敵する本を書ければ楽なんだが、結局俺にとって彼女達ほどの題材はないからなぁ・・・・。


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