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笛の音
【父娘相姦 官能小説】

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笛の音 1.-3

「――せっかくの愛美のお祝いの日だから?」
 執拗に腰を撫でる手が両手に変わり、背後から体を密着させてくる。ヒップに信也のズボンの中で硬突した先端が押し当てられ、スカート越しにゆるゆると擦りつけられた。
「家の中では嫌だって、ずっと言ってるし」
 振り返って信也の顔を睨んでやりたいができない。薄汚い情欲をムキ出しにしたイヤラしい顔をしているだろうから見たくもない。僅かに下唇を噛んで、なされるがままに不浄の先端を擦りつけられる屈辱に耐えながら、有紗は呼気を震わせた。
 時間に少し遅れて仕事から帰ってくると、愛美の祝いの準備は整っていた。ごめんね、と愛美に謝って、部屋で急いで着替えていると携帯が震えた。『パンツルックなんか許さないからな。スカートで来るんだ』という信也のメッセージを見て戦慄を覚えながら、オフィススタイルのパンツから着替えるために取り出していたジーンズをクローゼットに仕舞った。ミモレ丈のオフホワイトのスカートへ身に通しながら、愛美の晴れの日なのに、家の中で二人きりになるつもりかと憤り、いやこんな日だからこそ、家族のいる家の中で嬲るつもりなのだと、祝席で愛美がはしゃぎ、父母が笑うほどに心が塞がれていった。
「……まあいい。確かに母さんもいることだしな」
 ウエストを無遠慮に掴んだまま、有紗を書斎机のほうへ導いていく。背凭れが充分にある大きなチェアに腰掛けると、身を守るようにお腹の辺りで両肘を持って腕を組んで立つ有紗を見上げ、
「じゃ、お父さんが教えてあげたフェラチオ、ちゃんと身に付いているか久々にチェックしてやろう」
 と淫情を滲ませつつ、侮るような笑みを浮かべた。
「……あんたなんか、お父さんじゃない」
「何言ってるんだ。娘二人をちゃんと大学に入れてやった。いったいいくらかかると思ってるんだ?」
「私は、べつに……」
「有紗はともかく、愛美は大学に行きたがってた。有紗の、可愛い可愛い妹はな」
「……」
 信也は肘掛けに手を置いて、トントンと爪先で叩いてみせる。
「有紗だって、俺が居たから就職できたんだ。悪くない給料貰ってるだろ?」
「頼んだわけじゃないっ……!」
 声を上げそうになったが、階下には洋子がいるから小声で、しかし嫌悪を満たして吐き出した。
「何なら今からでも捨ててやろうか?」
 ふん、と息をついて悠然と見上げられる。「愛美もあんなに合格を喜んでるのになぁ……、行けなくなったら悲しむ」
「っ……」
「有紗」
 チェアに座る足が大きく開かれた。有紗はカットソーの袖を強く握って信也を睨んだあと、息苦しさに途切れる溜息を吐き出すと、それを契機とするように歩を進めて前に膝を付いた。
「……そうだ、いい子だな、有紗は」
 揶揄にしか聞こえない信也の声を頭上に浴びながら、眉間を寄せて手をスラックスに伸ばしていく。ノーベルトの前フックを外すと、顫動する指先でチャックを下ろしていった。中から勃起の隆起が押し出てくる。その形を窺わせるほど硬くさせていた。祝いの席でこんな淫らな股間を隠し、人生勉強だのなんだのと語っていたのかと思うと、愛美の合格が貶められたような気になってくる。
(愛美だけは……)
 妹への恵愛と信也に対する怨讐を糧にして有紗は続けた。信也の体に極力触れたくないから、両手の人差し指だけをブリーフの腰ゴムに差し入れ、無造作に引き伸ばして前を下ろしていく。スーツ姿の時は大企業の部長らしく恰幅がよく見える体も、肌を晒せば中年太りで腹が弛んでいた。茂っている白髪交じりの陰毛から、鈍濁に色素が沈着した涅色の肉塊が姿を現す。有紗の整った眼前に臆面もなく淫欲を晒け出す昂奮に、傘が膨らんでヒクついていた。
「ペロペロしてくれ」
 不愉快な表現に小さく舌打ちを鳴らしたが、抵抗はそれだけで、有紗は目を硬く閉じて顔を近づけていく。さっき背後から密着された時に感じた、燻されたような加齢臭が漂い、かつ股間で醸成された汗蒸れも鼻先を衝いてきた。
「ぅ……」
 呻きを漏らして唇を幹に付けると、表面がピクピク弾ね返してくる。下唇を押し当てた男茎の表皮の感触に有紗の表情が更に険しくなった。
「ペロペロだと言ってるだろ?」
 脳天に手が置かれる屈辱に有紗は瞳を吊り上げて信也を見上げた。「……そんな反抗的な娘に育てたつもりはないがな」
「娘じゃないし、育てられてもない……」
「愛美みたいに素直だといいんだけどなぁ。あの子は俺のことをすぐにお父さんと呼んでくれたのに。……愛美のほうが素直なら、今度から愛美に頼むか?」
(……!)
 丸めていた背を伸ばし、信也に掴みかかろうとするも頭を強く抑えつけられた。「あんなに酒が弱くちゃ、落とす男も楽勝だ」
 頭にある信也の手を外そうとする有紗を鼻で嗤った信也は、掴んだ頭を股間へと再び引き寄せていった。
「有紗。……愛美を大学に行かせてやりたいんだろ? 愛美にはこんなことさせたくないんだろ?」


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