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笛の音
【父娘相姦 官能小説】

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笛の音 1.-10

 花火を見に行って有紗とキスを交わし、それ以上に向かって恋情を交ぜ合わせていく間に直樹の成績は落ちてきていた。自分のせいで直樹の受験を失敗させたくない。
「直樹が高校受かったら、……させてあげる」
「ほんと?」
「うん。だから、ね? 勉強頑張って」
「……キスもダメなの?」
 それも半年以上禁止されたら有紗が耐えられない。ばーか、と言って有紗は直樹の唇を吸った。
 禁欲が悪い方に働くかもしれないと危ぶんだが、受験に成功すれば有紗と結ばれることになった直樹は勉強に打ち込んだ。そんな餌を与えられて頑張れるなんて、男の子ってバカだね、と嘯きながらも、そんなにも頑張るのは自分を好いてくれているからだと思うと、有紗は睦まじさに胸が溶かされた。だから直樹の受験が終わって結果を待っている間、有紗も鼓動を高鳴らせていた。合格したら直樹に抱かれる。抱いてもらえる。そう思うと授業中ですらスカートの中が熱くなって、また自己嫌悪に陥りそうだったが、もう直樹のためなら別にどんな女になったっていいと自分を納得させると、ヤバい、エロい、愛の力ってスゴい、と苦笑して時をやりすごした。直樹は頭がいい、余裕で合格するに違いない。自分のために。
 エッチしたら、有紗って呼んでもらおう。かわいいアダ名をつけてくれても可。
 幸せな想像に浸っていた時間は、合格発表の数日前に終焉を告げた。渡航制限などかかっていなかった街に、滅多に無い海外出張をしていた父親が、有紗にとってはどうでもいい信義に基づいて炸裂した爆風に巻き込まれて息を引き取った。亡骸となって日本に戻ってきた父親を引き取るために、直樹の合格の報せを聞くことはできなかった。




 無残な死姿を見せてはもらえないまま葬儀が行われ、父親は煙となって空に昇っていった。葬儀の会場で遠くに学生服姿の直樹が見えた。大人たちに囲まれている有紗へ近づくタイミングを窺っている直樹と目が合ったが、首を振って制した。直樹の姿を見ただけで慟哭がこみ上げて瞼が震えた。近くに寄って直樹の声を聞こうものなら狂い泣きしてしまいそうだった。しかし有紗はそうするわけにはいかなかった。隣で愛美がずっと泣き叫んで取り乱していたからだ。有紗は父の死の哀しみに浸るよりも、妹を護らなければならぬ使命に心を強く保っていなければならなかったのだ。
 あっという間に時間が過ぎた。父を失った心の空洞を数々求められる手続きの忙しなさに埋められ、気がつけば遺影の前で手を合わせていた。報せを聞いていち早く東京から駆けつけた叔父夫婦は、消沈する愛美を慮り、有紗を励まし、テロで非業の死を遂げた邦人の親族を取材しようと群がってくるマスコミの前に二人を出さずに自分たちで対応した。弔いが全て終わるまで終始寄り添ってくれた。
 骨壷とともに家に戻り一息つくと、一気に襲ってきた喪失感に圧し潰されそうになったところへ、弁護士が現れた。弁護士と並んで座った叔父夫婦が養子にならないかと言ってきた。まだ未成年である有紗たちには保護する者が必要だった。未成年後見人を立てるという方法もあるが、生前、万が一自分に何かあったら娘をよろしく頼むと義兄から言われていた、自分たちには子供がないが、必ず我が子として君たちを立派に育てるから子供になってほしいと叔父が真摯に言い、叔母は慈愛の目で頷いた。
 有紗は迷った。昔から母の弟であるこの叔父が苦手だった。優秀な男で、高学歴を修めて証券会社に入社し、金融再編時には合併に次ぐ合併で人員整理が行われても、身をうまく渡らせて順調にエリートコースを歩んでいた。母が死んだ後も一家とは交流が続き、愛美にとってはたっぷりのお年玉をくれる羽振りのいい叔父さんだった。しかし有紗はずっと子供ながらに嫌悪感を抱いていた。
 時々茨城の家の仏壇に手を合わせに訪れ、皆で食事を取っている時に何度も、「有紗は亜紀姉さんに特に似ている」と繰り返す。愛美が人一倍姉への憧れが強いのは、叔父のその言葉が刷り込みになったのかもしれない。もともと体が強くなかった母が愛美を出産するときに起こしてしまった脳出血で次女を見ることなく死んでしまったことを、愛美はともすれば「自分が殺した」と思うほど負い目に思っていた。有紗と違って母の面影を全く知らない、一緒に写った写真すら残っていない愛美は、叔父から繰り返し似ていると言われる姉へ母親への慕情を向けて来たのだ。だが有紗は、愛美をそこまで思わせるほど執拗に評する叔父の語尾や向けられる目線に、母への回顧以上の、有紗の体を絡み取ろうとしてくるような気色悪さを感じていた。
 それが懐疑から確信となったのは、父が休日出勤で不在なら、ということで、姉妹でオープンしたばかりの表参道ヒルズに連れて行ってもらった時だ。まだ小学校低学年だった愛美にはヒルズの店舗は楽しくはなく、途中でつまらなくなって叔母と原宿のほうへ行ってしまったから、有紗は叔父と二人で過ごすことになった。


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