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悪徳の性へ 
【学園物 官能小説】

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〜 周回 〜-1

〜 周回 〜


 モニターを通して観察することが、学園での僕の仕事だ。

 A棟の裏には一回り50メートルほどの、ごく小さいトラックがある。 白線を引いているわけではなく、トラック回りだけ芝がはってあり、青々と元気に伸びている。 
 
 8号は、彼女についてきた生徒たちをトラック前に並ばせ、笛をふいて第1姿勢をとらせた。 当たり前だが、誰一人恥じらいをみせず、股間を露わに足を開く。 初日にしては躾が行き届いたクラスである。 
 
 こうして改めてモニター越しに眺めると、首輪と靴以外何も身につけない少女たちが横一列に並んだ様子は、まさに学園の面目躍如といったところだ。 誰しもが容姿に秀で、瞳には理性が宿り、ある程度の個人差はあっても全員が『美形』に分類できる。 生まれる時代があと100年早ければ、皆が皆、幸せな家庭を築けたことだろう。 そう考えると時代の風潮には恐れ入る。

 もっとも、同じことが僕自身にもいえるのだが。

『………』

『『〜〜』』

 腰に手をあてた8号が何か呟き、少女たちの口が一斉に動く。 すかさず全員が90度向きをかえ、やけに体全体が赤い少女を先頭に行進が始まった。

 動きはモニターで詳細に分かるが、何をいっているかは聞こえない。 屋外は遮蔽物がないため音響が悪い。 しかも風やら虫やらでノイズも酷い。 したがって屋内並の感度で個々の音を拾うためには集音マイクが必須になるわけだが、屋外すべてにマイクを設置してはきりがない。 トラック回りは学園で音が判明しない場所の1つだ。

 学園では、屋内は基本的にすべてモニターし、音もセンサーしている。 一方、屋外は可動モニターで全範囲可視化しているが、音はごく一部しかセンサーしていない。 少女が行進している芝のトラックも例にもれず、何をいっているかは今の僕に知る術はなかった。 

 ゆえに、発言内容は予想するしかない。 
 先ほどの言葉は、おそらく『全体右にならえ、進め』『ハイ』といったところだろう。

 ざっざっざっ。 50本近い足が揃って上下する振動で、モニターの映像がわずかに揺れる。 
 遠目に見ただけだが、肩まで上げる手の高さ、膝の高さ、常に踵をあげた爪先立ちを保つリズム、揃い具合は酷くはない。 最低レベルはクリアしている。 

 と、2週したところで、中盤にいた少女が列からよろめいた。 すかさず8号教官が行進を止めた。

「……?」

 モニターに映るシーンは、私の予想とは違っていた。 よろめいた本人ではなく、なぜか先頭の赤く充血した少女が列から外れ、8号が鞭を振るうではないか。 1発、2発、さらに1発で計3発。 真新しい線が腹筋に刻まれる。 その度に少女は正面を睨み、口許を締め、大きく口を開けて応答した。 8号の言行から察するに、鞭に対する感謝を述べさせているのだろう。 自らがぶった相手に礼を言わせる。 何とも皮肉な指導だが、立場の違いを自覚させる効果に鑑みると、推奨こそすれ否定する理由はない。


 とさり。

 どうやら鞭だけでは終わらせないらしい。 8号は先頭だった少女の肩を押さえ、膝をおり、芝の上に寝転ばせる。 少女はトラックに横たわり、お腹が少女たちの爪先の延長にくる。

 またか、と僕は思った。 遥か昔、僕自身が体験したことだ。 こうしてみると学園の出来事は、大半が僕の実体験の繰り返しだと思う。 映像を見ただけで腹筋に力を込めてしまう。

 横たわった少女のお腹に8号が踵をのせ、他の少女達に二言三言声をかける。 一瞬動揺が伺えるも、すぐに返答する少女たち。 すぐに向きを直し、行進を再開した。 さっきよろめいて行進を止める原因をつくった少女も足を高くあげながら進む。 

 ざっざっざっ。

 そのまま一周して、行進はもとの場所に戻ってくる。 止まる気配はない。
 すなわち、鞭打たれた少女が横たわる上を、いくつもの足の裏が連続して踏み越えようとしているのだ。横たわった少女はといえば、さすがに目をを開けていられないのだろう、ギュっと目を閉じ、気持ち足を縮めている。 微かな腹筋が、ふくよかな脂肪の隙間から覗く。 それは行進を受け入れようとする姿勢であり、取り乱したり、逃げようとしたりする態度ではなかった。

「……!」

 僕が踏みつけられる側だったとき、当時の担当教官から言われた言葉を覚えている。
『よくて嘔吐』『普通は内臓破裂』『悪い場合も覚悟すること』

「……」

『調子を乱さず行進できるまで続けます』『しっかり踏まなかったものには、横たわってもらいます』
 要するに手加減せず、いくつもの足が自分を踏みつけるのだ。 そうと分かって、恐怖で茫然自失していた。
 結論から言えば、40kgそこそこの同性に踏まれたからといって、そこまで大したことはない。 もう一度踏まれたとしても、別にどうということはない。 それでも、初めて踏みつけられる恐怖は並々ではなかった。 僕は軽いパニックで身動きがとれなず、ただ口をパクパクさせ、声にならない叫びをあげるだけだった。 一方モニターに映る少女。 逃げるでもなく、喚くでもない。 我を失った僕と比べれば、少女が冷静さを保っている点に驚かされた。

 ざっざっざっ……ぐに、ぐい、ぎゅむ。

 裸に靴姿の少女達が、次々に柔らかなお腹に足をかける。 持ちあげた爪先を、スブリとおろす。
 その度に全身を震わせる、横になった少女。 取り立てた身体的特徴はないが、そこはかとなく賢そうで、視線が鋭く、印象に残る横顔だ。

 覚えておこう。

 逆に踏んだ少女たちは、慣れない行為に動揺したのか、単純にお腹の足場が悪いせいか、姿勢を崩すモノが多い。 これでは合格を出せるわけがない。


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