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悪徳の性へ 
【学園物 官能小説】

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〜 行進 〜-1

〜 行進 〜

 手許の時計によれば、現在ちょうど15:00だ。
 基礎姿勢、体操を終えた段階で、まだ1時間以上残っているなら順調だと思う。
 生徒たちは手を後頭部にあてた『第3姿勢』で待機中だ。 額には大粒の汗がならび、体操による『動』の酷使と第3姿勢による『静』の酷使で、脛から先がピクピクしている。 それでもまだまだ作り笑顔は健在で、口も律儀に半開いており、気力的には問題なさげだ。

 寧ろ疲れてきたのはわたし自身かもしれない。 先ほどから体育担当、Cグループ2組の副担任である8号教官として体操の手拍子をとったり、時には叱咤してきたせいで、喉がいがらっぽくなっている。 声をあげるのがおっくうになってきた。

 胸元から出したホイッスルを一息ふく。

 ピイー、ピッ。

 視線が集まったところで、次の課題を告げることにしよう。

「はーい、貴方たち聞こえますかー」

「「ハイ! ご指導よろしくお願いします!」」

「勿論♪ これから2通りの『行進』を練習するわ。 1つは普通の行進で、まずこっちからはじめようと思うわけ。 だってさ、最初は普通な方がやりやすいでしょ。 低能な貴方達的には」

 そこかしこで視線を彷徨わせる生徒たち。 戸惑っているなら、それは自意識過剰というか、わたしの言葉の裏を考えすぎている。 今から教える行進自体は、ごくごく普通なものだ。 なにしろ行進とは移動が中心になるわけで、たとえば腰を落として相撲の『すり足』よろしく進む行進がある。 或は足をクロスさせて腰を振りながらモデルの『モンローウォーク』よろしく歩く行進もある。 けれど、まずは歩調を合わせ、規律に則って歩くことが大切だ。 応用版はまだまだ先だ。

「掛け声は、そうねー。 普通らしく、ワンツー、ワンツーでいきましょう。 それじゃあ、その場で足踏み、はじめっ! 右、左、右、左、ワンツー、ワンツー!」

「「ハイ! わん、つー、わん、つー!」」

 ザッ、ザッ、ザッ、ザッ。

 一斉に砂埃が舞う。 
 なるほど、ここまで短期集中で全体の調子を合わせてきたせいもあってか、リズムは概ね揃っていた。 声量も声調も中々だ。 ただし動きを見ると、一糸乱れずとは言い辛い。 ある生徒は手の振りが大きすぎるし、ある生徒はももが水平に達していない。

「「わん、つー、わん、つー!」」

 ザッ、ザッ、ザッ、ザッ。

 生徒の列を一瞥して考える。 さて、当然ここからわたしの指導で、爪先から指先まである程度揃えてあげたいわけだが、どうやって集団指導したらいいだろうか。
 
 一番やり易いのは、今までと同様に22番を槍玉にあげる指導法だ。 誰かが動きに不備を見せれば、本人ではなく22番に鞭を入れる。 22番のことだから、それなりに体裁を整え、こちらの面子がたつように謝罪、返答するだろう。 しかし、列の先頭で足踏みする22番の姿は、すでに十二分に痛々しい。 わたしの鞭で100発近く叩かれたのだから当然だ。 

 わたしは手首のスナップを利かせ、皮膚表面を撫でるように打つ。 この打ち方だと体表の痛点を集中して刺激するので、痛みの瞬発力は物凄い。 一方、あくまで撫でるだけなので、肌は赤く染まっても傷にはならない。 だから、22番がこの2時間弱で受けた鞭が100発を超えたとしても、一晩寝れば大方治るはずで、さらなる鞭を躊躇する理由はないのだ。 
 けれども、22番が痛々しくて代役に選んだ15番は、たった3発で号泣してしまった。 22番よりもいっそう手加減してあげたにも関わらずだ。 傷にならないとはいえ、わたしの鞭が与える痛みは半端じゃない。 15番がだらしなかったから再度22番を前に立たせたが、これ以上矢面に立たせるのはどうなんだろう。

 或はごく当たり前に、不備ある動きをしたものを鞭打つことで指導してみようかとも思う。 問題は、鞭のたびにギャーギャー喚いたり、的外れな返答をしたりする生徒がいることだ。 さっきの15番は最悪で、あんな風に泣かれた日には集団指導が一瞬で崩れる。 自分が担任なら個別指導を活用してやりようもあるが、そこまで関わるつもりはない。 


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