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和州道中記
【その他 官能小説】

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和州道中記-6

「ん…んん…ッ」
恥ずかしいのか、竜胆は手の甲を口に当て、声を押し殺している。
一紺は身体に這わせていた手で彼女の手首を掴んだ。
「感じてええ。俺はお前の声が聞きたいんや」
入れたり出したりの動きに、結合部は淫猥な水音を立てる。
「は…あ、ん…あッ…」
与えられる快感に、自然と竜胆の腰も浮いた。
「や…ん、一紺…!」
官能的な快感が、竜胆の感覚を支配する。
「竜、胆…」
それは一紺も同じだった。強い締め付けが生み出す強い快感に酔いしれそうになる。
浅く深くの挿入は絶えずいやらしい水音を出し、一紺の興奮を更に煽る。
「お○こ、かなり濡れとるみたいやな。そんなにええか?」
意地悪くにやりと笑みを浮かべた一紺に、竜胆は顔を歪めてで吐息混じりに吐き捨てた。
「…ッ、あぁん…わ、分かってるんだ…ろ…!…あ、ぅんッ!」
「それを言わせたいのが男ッちゅうもんや」
笑いながら、一紺は腰の動きを速め出した。
「あ、あ、あぁ…あ、ふぅ…んッ」
「くッ、どや…!」
動きを速めた一紺の額から汗が飛び散り、それは竜胆の胸と、それをまさぐっていた手に落ちる。
何か甘い匂いが一紺の鼻孔を犯し、ぐちゅぐちゅと言う水音が耳朶を犯した。
彼はただ一心に、竜胆の身体を求めていた。
「…ッ紺、何か…来る…ッ」
「ええで、イカせたる」
深く一紺が突いたのと同時に、竜胆の嬌声が高く長く響いた。
「くぅ…ッ」
一紺も、強い締め付けに身体を震わせ、達した。白濁した液が竜胆の秘所から溢れ出す。
と、一紺が突然素っ頓狂な声を上げた。

「や、やってしもた…!」
「な、何をだ!?」
「な、中に出してしもたわ…」
竜胆の顔がさっと青褪めた。
一紺が慌てて一物を抜き、竜胆は慌てて指折り日数を数える。
互いの性器は互いの液でまみれていたが、気にしている場合でない。
「だ、大丈夫だ…多分」
「ほ、ほんまか?!えらいことしてしもた…!で、でもな、あんまり気持ちよかったから、つい…」
なんとか言い訳をして頭を垂れる一紺に竜胆は言った。
「気に病むな。願ったのは、こっちだし…」
気恥ずかしいのだろう、最後の方は聞き取ることはできないほど小さな声で言う竜胆。
はだけた着物を整えると、一紺から顔を背けた。
「竜胆」
呼び掛けにも応じない。
「怒っとるのか…?」
「怒ってない」
「なら何で顔を…」
一紺が竜胆の肩をぐいと引っ張った。彼女の表情は困惑の色を浮かべ、その頬には一筋の涙が流れる。

「見ないで、くれ」
彼女は言った。
「…汚れた私を、見ないで…くれ」
媚薬の効果が切れたのだろう。
襲われたこと。無理矢理に犯されたこと。自分から身体を求めたこと。
恥ずかしくて、悔しくて堪らなかった。
羞恥で顔を赤くさせた竜胆の背に、一紺は言葉をかける。
「なぁ、竜胆」
「…?」
いつもよりも低い一紺の声に、竜胆は身を強張らせる。
(…やはり、軽蔑しているんだろうな)
彼女は強張ったまま彼の次に出てくる言葉を待った。
「…」
しかし一紺が言ったのは、竜胆が不安しているようなことではなく。
逆に、思わず目を瞬かせて聞き返してしまったのである。
「…はぁ?」
「一回で聞き取らんかい。…今度はよく聞いとれよ」
「はぁ」

「…『もう一回ヤらせてくれ』言うたんや」
急に一紺は竜胆を引き寄せ、抱き締める。照れ臭そうに、と言うよりは決まりが悪そうな様子で一紺は言った。
竜胆は改めて彼の言ったことを理解すると、再び顔を赤くさせた。
「あ…え、ええと」
口ごもる竜胆。
そんな彼女を一紺は押し倒し、優しくその額に口付けを落とした。

「いやや言うても、止められへんで」


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