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悪徳の性へ 
【学園物 官能小説】

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〜 汚栓 〜-1

〜 汚栓 〜


 好きな人に出会って、一緒に手をつないで、冬の並木通りを黙って一緒にあるいて。そういう風になれたらなあって、なんとなく思っていました。 いつの間にか忘れていたけれど、ついこの間まで、そんな大人になるつもりでした。

 諦めたとか、諦めないとか、そういう段階は終わりました。
 
 この学園に来て、騙されて、いろんなものを無くしています。 あんまり気に入ってはいませんでしたけど、私の『香坂里奈』っていう名前も、これからずっと、誰も呼んでくれないんだと思います。 人間なんだから、29番だなんて、モノ扱いされるために生まれてきたんじゃないはずです。 でも、もしかしたら里奈が間違っているのかも……。

 里奈の頭の中は、もうずっとせんから真っ白でした。 
 一生懸命、言う通りにしたのに、里奈だけ立たされて、他のみんなは黙っていて、教官はジッとこっちを見下ろしているんです。 口の中はカラカラで、それなのに喉が何かを呑み込もうとしてクピりと動いて止まりません。 蛇に睨まれた蛙って、こういうことなんだろうと思います。

「29番。 前にでなさい」

「……ハイ」

 かすれた声を絞りだします。 
 もう、こうなったら出来ることをするしかありません。 

「教壇にのぼって、四つん這いになる」

「は、ハイ!」

 半畳ほどある教壇に両手をかけ、足をもたげます。 こういう時は里奈の胸がイヤになります。 腰から下はすっとあがるのに、胸がたゆんで天板にひっかかり、どうにも上手く登れません。

「愚図愚図しない」
 
 パァン。 教官の平手がお尻にはじけます。 手加減の欠片もない、重たい衝撃。 痛いというより、お尻を通じてズシンとお腹に伝わって息が途切れました。 

「ハイッ。 さもしいインチツをお許しくださいッ」

 例え満足に空気を吸えていなくても、言葉が勝手にでてくるから不思議です。
 とにかく謝罪、もしくは御礼です。 何を言われても、どんなことをされても、ぶたれようがバカにされようが、里奈たちは下品な言葉を連呼しながら迎合するしかありません。 
 
 里奈たちの教官は、返事をする場合に、インチツ――淫膣という表現でしょうか――という言葉を使わないと許してくれません。 それ以外にも、何か動作をするたびに、自分を貶めることが求められます。 何も言わずに従ったら、ビンタ。 怯えて舌がつったとしても、鞭。 
 黙っていたら駄目なことは分かっているんです。 それでも、どうすればいいかなんて分かりません。 分からなきゃいけないのも分かっているんです。 頭では分かります。 それでも……。

「お尻をこちらにむけなさい」

「ハイッ。 しまりのないケツマンコと、はしたなく濡れたインチツを晒す無礼をお許しくださいッ」

 里奈たちは、上品な言葉遣いと称して、いろいろな呼称を合宿で教わりました。 NGワードは『おしり』『アナル』『ヴァギナ』『クリトリス』『バスト』『ショーツ』といった単語です。 これらが意図する部分は『おけつ』『ケツマンコ』『チツマンコ』『クリちんちん』『ぱいぱい』『おぱんつ』といわなくてはなりません。 合宿で慣れるまでは、口にするたび情けなくて涙がでました。

 大声をだして腰をあげ、股間を丸出しにした里奈に教官が近寄ります。

「これが何だか解るかしら」

「う、ふぐぅ」

 ぐにぃ。
 里奈の鼻先に、真っ赤なラバー製と思しき器具が押しつけられました。
 風船のようなラバーが2つ、小さな管で結ばれています。 どちらのラバーも大きくて、めいっぱい膨らんだら里奈の顔くらいになるかもしれません。 大きい方のラバーからはゴムチューブが伸びていて、その先は教官の手に握られていました。

 ぐりぐり、ぐり。 鼻の穴がラバーにひっかかって、痛くて、また涙がこぼれそうになりました。 わかっていたことですが、教官は手加減がありません。 

 ぐりり、ぐり。 ラバーの端っこが右の鼻の穴に詰められます。 痛いだけじゃなくて、臭いです。 それもラバーの香りだけじゃなくて、なんていうか、酷くはないけれど嫌悪感が止まらない匂いです。 酸っぱいものが食道づたいにこみああがってきます。 どうにか胃の中に押し返しても、息をするたびまた戻しそうになります。 顔を背けたくても教官は許してくれません。

「これは何? 返事」

「わひゃりまひぇん。 もうしわへありまひぇん」

「見たこともないの?」

「ひゃい」

「合宿でも使わなかったと」

「つ、つひゃいまへんへした」

「あらそう。 じゃあとりあえず口を開けて」

「…ひゃい。 わぷっ!」

 開けた途端に生暖かいラバーが口いっぱいに捻じ込まれました。 

「指を噛んだらただじゃ済まないことよ」

「っぷ、うぐっ、むぐ〜〜」

 ぐぐ、ずぐり。 ラバーの上から指を2本いれられました。 気持ち悪い……喉と食道の境まで指とラバーとで蹂躙されて、それでも何もできません。 頭をからっぽにして、

「うひっ、ひっ、むひぃ」

 豚みたいに喘ぎながら、里奈は刺激をやり過ごすしかありませんでした。

「しっかり唾をまぶさないと、あとが辛くなるわ。 裏側も濡らして……このくらいが頃合いね」

 グイグイ、グリグリ、ズポッ。

「エグッ! へっ、おえ、おぇぇっ!」

 一気に引き抜かれて、吐瀉寸前まで込みあげました。 予想していたから何とか抑えましたが、無様な嗚咽は止められませんでした。

「おぇ、へぁ、はぁ、はぁっ、はぁ〜〜」

 小刻みに息をすって、ゆっくりと吐くことで、どうにか落ち着けたのも束の間、教官の声が背中越しに聞こえました。



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