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悪徳の性へ 
【学園物 官能小説】

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〜 一発芸 〜-3

「33番」
 
「ひっ……ハイ!」

「貴方はどうなの。 何かできるの」

 水を向けられた33番。 震えているのが傍目にわかった。
 私にはわかる。 彼女は私と同じで平凡だ。 私自身がつい最近まで、彼女のようにただ震えるだけだったからなおのこと、よく分かる。 私も彼女も取り柄とは無縁だと感じるのだ。 お互い身体能力も低く、発想も乏しく、特技もない。 個性といえば、私はシミが少ない肌、彼女は低身長くらいなものだ。 それだけでお互い今の状況に適応しなければならない。

「さ……33番、歌います!」

 少女がとった行動は、私の予想の斜め上だった。
 
「はあ?」

 はじめて教官が眉をひそめる。
 口上もそこそこに、33番は声をあげた。

「ち……ちょうちょ、ちょうちょ、なのはにとまれ〜〜」

「……」

「なのはに飽いたら、さくらにとまれ〜〜」

 脇を締めた手のひらを横にひらき、ペンギンの羽ばたきを真似て、身体を左右にゆすりながら歌う。 小さな少女が歌う姿は、幼児がお遊戯会で披露するソレだった。

「……」

 幼稚な歌唱に対し、黙って見下ろす教官。 
 
 33番の行動は『何かする』条件は満たしているかもしれない。 といっても、おそらく教官の意に沿うものではないのだろう。 教官が見せた眉間の皺が、33番に対する評価を如実に示す。

 下手をすれば何もしないより悪い印象かもしれない、と私は思った。 学園において童謡を口ずさむだけで自分を認めてもらおうというなら、認識が甘いにもほどがある。 ここは清純や清潔に最も縁遠い場所の一つ。 優しさや思い遣りが何の意味も持たない空間。 厳しく自分を見つめさせ、より適合した素材へと育てる学園なのだ。

「さくらのはなへ〜〜あんずのはなへ〜〜」

 ゆっくり歌う33番が、ここで手を外側から内側へ寄せた。
 
「っ……!」

 ビィン、ピィィン。

 それまでパタパタ振っていた手で、大陰唇を抓み、めいいっぱい外へ広げたではないか。 抓んだ場所・クリトリス・蟻渡りを頂点とした肉色の三角形が33番の股間に2つ広がった。 そのまま襞皮を前にひっぱり、股間を覆い隠すように動かすと、

「ちょうちょ、ちょうちょ、なのはにとまれ〜〜」

 鼻に抜ける声で歌いつづける。 
 ここでようやく私は気がついた。 彼女の仕草……自分の陰唇を蝶の羽にみたて、歌詞に合わせて動かそうという意図があったのだ。

「まんまん、おっきで、おまめにとまれ〜〜」

 パタパタ、パタパタ。

「びらびらのびて〜〜うれしいわたし〜〜」

 パタパタパタ。

 充血した膣口が見えては隠れ、合わせて腰をくねらせるので、それなりに蝶っぽくもある。

「まんまん、しこしこ、おまめにとまれ〜〜……あ、ありがとうございましたぁ……すん」

 誰も何も反応しない。 
 33番は最後には消え入りそうな御礼をいうと、鼻を啜った。
 確かに工夫はあると思う。 それでも、あまりにもくだらなすぎて、歌詞の安直さもあって、20番のような空気にはならなかった。

「……ふう。 久しぶりだわ。 こういう、どうしようもないおバカさん、たまにいるのよねえ」

「も、申し訳、ありません」

「頭が痛くなりそうよ、もう。 黙って後ろに立ってなさい」

 コクリ、大きく頷く33番。 
 直立を解いて教室の後ろに進む。 私としては『ハイ』と返事をしてから、後ろにいって黙って立っておくべきだと感じたのだが、33番としては『黙って』というのを『返事を口にせずに』と捉えたのだろうか。 もしもそうだとしたら、少女は平凡な性格などではなく、立派な天然素材だと思う。
 
「さてと」

 くるり、教官が私の列に顔をむける。
 私の2つ前の席で、直立姿勢をとる29番のせりだした双乳が揺れていた。


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