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good communication
【若奥さん 官能小説】

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庶民なのです-2

そんな風に他愛もない話をする一方で、私の身体は密かに悲鳴をあげていた。


……足が痛い。


一定のリズムを刻みながら歩いていた私だったけど、新しい靴を履いた時の洗礼と言うべき「靴擦れ」が私を襲っていたのだ。


服とバッグはヒロさんから。ちょっと高そうな小さなダイヤが3連になったネックレスはなんと天慈くんのバイト先のお友達からのご好意で貸してくれた今日の服装。


レンタルでドレスアップした私が唯一自前で身につけているのが、赤いサンダルだった。


本当はヒロさんが用意したパンプス(これまた高そうなやつ)を履く予定だったけれど、そこはやはり男と女の違い。


いくらヒロさんが細くて美しくても、足のデカさだけはどうしようもなく、23センチの私に27センチの靴は到底合うわけがなかった。


ヒロさんは自分の描いていたコーディネートが出来なかったことに大いに不満気だったけど、こればかりはどうしようもない。


それでも私が選んだサンダルはカジュアル過ぎるわけじゃない、落ち着いた赤であるし、オープントゥパンプスより若干露出が多いくらいのデザインだから、割りと綺麗目なカッコにも合うので、最終的には「仕方ないわね」と及第点をくれた。


そんな出来事があって、今日のコーディネートに選ばれたこのサンダルだけど、踵の辺りがサンダルにぶつかって痛い。


さらには親指の付け根辺りに走る痛みが、私のこめかみに玉のような汗を浮き上がらせた。


歩く度に、踵の皮が擦りむけた所にぶつかる。


ジンジン痛む右脚を庇うせいで、歩き方も変になる。


天童ブラザーズの教えでは、「いつも背筋を伸ばして颯爽と歩きなさい」とあったのに、かなりキツイ。


だけど、ホテルまではあと5分も歩けば到着するし、なんとかここは踏ん張んないと……。


「どうした?」


横に並んで歩いていたはずの私の姿が少し遅れていたことに気付いた輝くんが、少し速度を緩めつつこちらを振り返る。


どことなく心配そうなその表情に、私はにっこり微笑んで首をゆっくり横に振った。


「何でもない、久しぶりに街歩いてるからキョロキョロしちゃった」


小走りで輝くんの所に追い付けば、またジクジクと染み渡る痛み。


靴擦れが痛くてと言えば、少し休んでくれるだろう。


だけど、今日のデートでは行きたい所がたくさんあるから、休憩なんかしたらただでさえ少ないデートの時間がさらに削られてしまう。


だからこれくらいのことでデートプランに水を差すのだけは嫌なのだ。


「さ、早く行こう」


さりげなく腕を組む私は、痛みに歪む顔を見られたくなくて、彼の腕にそっと顔を埋めた。


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