投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

good communication
【若奥さん 官能小説】

good  communicationの最初へ good  communication 55 good  communication 57 good  communicationの最後へ

庶民なのです-1








立ち直りが早いのは私の長所である。


映画館での段取りの悪さ、お腹が盛大に鳴るという失態を払拭するために向かったのは、駅前にあるスプレンディード・ガーデン・ホテル。


そう、次なるデートの舞台はホテルのレストランでのランチなのだ。


本当ならばロマンチックにディナーでもできたらとは思うけど、金銭面の問題もあるし、何より夜まで瑠璃を天慈くんに預けっぱなしにはできない。


天慈くんは「気にしないでいいよ」なんて言ってくれたけど、さすがにそこまで甘えられないし、きっと私もその頃には瑠璃のことが気になって仕方ないから。


そんな時間にもお金にも制限のある私達には、ランチを少し豪華にするのが最善なのだ。


それに、駅前のホテルなら、食事してから次のデートコースである水族館へのアクセスも便利だし、それに何よりそこのレストランは、すごく美味しい所らしい。


天慈くんが勧めてくれた、レストラン「ディアマンテ」は、テレビでもランチ特集をよくやっていて、かくいう私もそれを観たことがしばしばある。


イタリアン料理のここは、とにかく材料にこだわりがあり、味はお墨付きなのはもちろん、メニューもディナー並みのボリュームがあるから、男の人も満足できるとか。


それにホテルの最上階にあるから、街を一望できるし、夜景まではいかなくとも充分デートを盛り上げてくれるはず。


ランチだからリーズナブルとは言え、一人5,000円のお値段、正直躊躇う所だ。


けれど、ネットで見たメニューの内容があまりに魅力的なこと、天慈くんの「絶対ここにしなよ!」と強いプッシュもあって、清水の舞台から飛び降りる覚悟決意をした。


金銭面での悩みがあった私に、ここを薦めてくれ、予約までしてくれた天慈くんには感謝感謝だ。


もう、絶対デートし慣れてるよね、あの子は。


とは言え、若干おネエ疑惑がある天慈くん。


映画館から目的地に向かうため、輝くんと手を繋ぎながら私は、天慈くんの端正な顔を思い浮かべながら、人混みを上手く掻き分けつつ、私は口を開いた。


「予約してるレストランなんだけど、すごい人気なんだって」


「らしいな」


「天慈くん、“絶対おすすめだから!”って言ってたけど、誰かと行ったことあるのかなあ」


「さあ」


「あの子、綺麗な顔してるし絶対モテるよね。瑠璃も天慈くん大好きでお嫁さんになりたいって言ってるもの」


瑠璃が目をキラキラさせて天慈くんのお嫁さんになりたいと言っていたのを思い出すと、それが微笑ましくて顔が綻んでしまう。


なのに、輝くんはお嫁さんになりたい相手が自分じゃないのが不満だったのか、はたまた天慈くんのおネエ疑惑を知っていてなのか、


「それって複雑」


と、眉間にシワを寄せて難しい顔をしていた。




good  communicationの最初へ good  communication 55 good  communication 57 good  communicationの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前