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good communication
【若奥さん 官能小説】

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庶民なのです-3








「わあ……!」


スプレンディード・ガーデン・ホテルに足を踏み入れた途端、目映いほどの豪華な内装にため息が漏れた。


フロントは建物5階分くらいの高さが吹き抜けになっていて、とても大きなシャンデリアがアクセントになっていて。


ヒールが白い大理石にカツンとあたる音すら、そこらのデパートと違うような気がする。


排気ガスで薄汚れた都会から遮断された空気を味わうように、私は思いっきり深呼吸をした。


痛む足を我慢して歩いた甲斐があったわ……!


輝くんに気付かれないよう、右足のサンダルを踵だけ脱いでみたら、皮がめくれて濃いピンクの肉が見えている。


いやいや、これは見ない振り!


この後のデートでもたくさん歩くことになると思うと不安はまだ残るけど、今はここで食事をできる喜びの方が大きい。


「パパ! すごいとこね!」


「う、うん……。ホントにここで飯食べるの?」


豪華絢爛な内装に圧倒されたのか、輝くんはソワソワ落ち着かない。


庶民派の輝くん(私もだけど)は、こういう所に足を踏み入れるのは、結婚式の参列者としてくらいなものだから、慣れていないのだろう。


ホテルのスタッフが洗練されているのはもちろん、お客さんだってすごく上品そうな人達ばかり。


とても大きな宝石を身に付けた有閑マダム。商談中なのか、スーツを着た白人男性と、日本人男性。


さらには、でっぷり突き出たお腹に薄い頭の、いかにも成金社長といった感じの中年男と、明らかに愛人に見える、やたら露出度の高いドレスを着た、キャバ嬢っぽい女の組み合わせ。


高級ホテルのお客は、私達とは決して知り合うことはないであろう人種ばかりで、ホテルの内装だけじゃなく、人間ウォッチングにも気を取られそうになる。


そんな私を、


「おーい、里枝……? 俺、なんか自分の格好が浮いてるような気がして、すごく不安なんだけど」


と、輝くんの不安気な声が呼び戻す。


見れば、彼はまるでお化け屋敷の中を歩いているように身を竦ませていた。




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