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悪徳の性へ 
【学園物 官能小説】

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〜 手淫 〜-2

「くう……うっ、うっ、うぅ」「あんっ、あうっ」「ふぅん、んく、んん!」

「あと10秒」

「むぁ……に、にじゅういち番、絶頂します! ありがとうございます!」
「にじゅうはち番! 絶頂します、ありがとうございますっ」
「さんじゅうご番です、ぜ、絶頂しますっ、ありがとうございまぁす!」

 教室のそこかしこで、ビクビクと痙攣しながら声をはりあげる少女たち。 ほぼ同時に首輪のランプが明滅する。

 首輪には様々な機能が付属しており、その1つが、各自が達した際の痙攣パターンに反応し、外部に伝える機能だ。 実際に達していないのに、達したような素振りをしても決して首輪は光らない。 ピタリ、達したときと同様に体を震わせられれば話は別として、だ。
 少女たちに首輪の機能は説明していない。 だから、彼女たちは首輪に特殊なセンサーがあり、絶頂を判定していると思い込んでいるのだろう。 いまのところ、達したふりで私を誤魔化そうとする気配は感じられなかった。
 
 学園において、マスターベーションは性欲処理の手段とは違った意味合いがある。 膣口からカウパー液を垂らし、公共の場を汚さなければ満足できない、さもしい自分。 クリトリスを皮からとりだし、鉄の据えた香りを共有し、体内に収めておくべき内臓を刺激するという、常識的には考えられない行為で喜んでしまう自分の脳。 自分たちが牝であり、如何に低能であるかを、百の言葉より明らかに教えてくれる学習機会、それがマスターベーションだ。

 学園ではわずかでも空き時間ができれば、まずマスターベーションが命じられる。 しかし絶頂することは原則として認められていない。 快楽が癖になっては人の本分が疎かになるため、常に絶頂一歩手前を保つルールが厳しく敷かれており、許可を得て初めて達することができる。 そんな中、神聖な教室内で絶頂許可をもらったのだ。 この流れは歴とした指導であり、はしたなく達する機会はそうそう与えられないのだから、生徒は感謝の気持ちを表さなくてはいけない。

 しかし、全員が全員、キチンと欲望まみれな自分を体現できるかといえば、そうではない。 傲岸不遜にも、恥ずかしがったり、昂揚を維持できなかったり、淫らな自分に向き合えなかったりといった理由で、達することができないものもいるにはいる。

 プルプルと小刻みに震える牝や、肩で息をする牝に混じって、手を動かし続ける生徒が3名。   
 偽ってマスターベーションで達したふりをすることはない。 マスターベーションの虚偽は学園最大の禁忌(たぶー)の1つ。 露見する可能性が極めて少ないにしても、罪を犯す生徒は年に1人や2人はでる。 だが、首輪の性能に縛られている新入生に偽るだけの根性があるはずもない。

「5、4、3、2、1……そこまで」

 30秒きっちりで、少女たちの動きを止めた。
 少女達は全員、全身水を浴びたように汗まみれだった。 それはそのはずで、私が30番を講習室に連れて行ってから戻ってくるまでの約30分、ひたすら自分を昂ぶらせ続けたあげく、全力で絶頂まで自分をもっていかざるを得なかったのだ。 ハーフマラソンを完走した直後に、100メートルを全力で走らされたようなものだ。

 さて、これからどうするか。 
 私の教室に休憩時間はない。 なぜなら私は疲れていないから。
 
「第3姿勢に移行。 聴こえたら返事」

「「はい! インチツの奥で理解します!」」

 バタバタと腰を落とし、足が180度を超えるまで広げ、両手を頭の後ろに組む。
 私は教壇をおり、少女たちの間をゆっくり巡視する。

「集団責任という言葉は知っていますね。 いまさら言うまでもないことでしょうけれど」

 絶頂した報告ができなかった3人の一人、33番。 青ざめた33番と視線を合わせる。 少女は気丈にも私から目を逸らそうとしない。 ピンとはった背筋と相まった凛々しい雰囲気は、私好みでは決してないが、嫌いではない。

「この中に最後までマスターベーションできなかった駄肉がいるとしたら、そんな不良品が混じっている責任は貴方がた全員で取らなければなりませんね」

 絶頂できなかった3人の一人、最後まで股間を未練たらしくいじっていた29番。 小刻みに震える29番の前で立ち止まってみる。 29番はずっと俯いたままだ。

「これだけ十分自慰に耽らせてあげたというのに、達することすらできないとは、呆れます。 当然このまま次のステップにはいけません。 もう一度チャンスをあげますから、次は全員が――」

 全員、というところで一呼吸おく。

「――全員が指示通りに動くように。 いいですね」

「「はい! インチツの奥で理解します!」」
 
 達することがなかった最後の一人を正面から見下ろす。
 30秒間オロオロしてばかりだった、カールがかった栗色の髪をした、小動物を連想させる20番。 少女は充血した瞳に涙を湛えながら、私に小さく頷いた。

 マスターベーションの不手際は、やはりマスターベーションで拭うべきだと私は思う。 全員に与える負荷【タスク】としては、後遺症が残らない自慰は好都合だ。 股を広げた少女たちの間を縫って、私は教壇に戻る。 

 スイ。 
 
 教壇のコンソールに親指の指紋をかざし、教室に内臓されたプログラムを呼びだす。 
 自分の手という有機物で膣を慰めたあとは、冷たい無機物も宜しかろう。 あとはサイズだが、ここで手心を加えるか、それとも最初こそ厳しくいくか……。

 パ、ピ、ポ。 

 操作を終えたところで、

 ブイィン。 

 懐かしいバスサウンドが少女たちの椅子から響いた。


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