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エスが続く
【OL/お姉さん 官能小説】

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3. Softly, as in a Morning Sunrise-23

「わっ……!」
 横抱きに抱え上げられる。まさかこんな抱き上げ方をされる日が来るとは思わなかったが、
「ちょ、……小さな声で『うっ』て言わないで!」
 と持ち上げられた瞬間の声を聞いて非難した。
「大丈夫……。悦子のために筋トレしてる成果、見せる……」
 平松は少し体を震えさせながら、一歩々々ゆっくりと廊下を進み始めた。この高さからでも落とされたら相当痛いはずだから、悦子は落とされまいと平松の首に必死にしがみつき、それで重量が軽減されるわけでもないのに体を屈めて小さくなった。しかし抱きかかえられて進んでいく浮遊感が頼もしいとは言えないのに心地いい。平松の顎に額を押し付けてその快楽に身を委ねる。
「生きていけない?」
 ドアをくぐり、部屋の中に進んでいく途中でもう一度問われた。
「……生きていけない」
「じゃ、二度とあんなこと言ったらだめだよ? わかった?」
「……わかりました」
 お姫様抱っこをされながら唇を吸ったらどんなに気持ちいいだろう。悦子は腕を震わせて平松の体をよじ登ると唇を頬と口に沿わせていく。
「そんなことしたら力抜けて落としちゃうよ」
「絶対、落とさないで」
 首筋や耳にも音を鳴らしながら吸い付き、鼓動を高鳴らせ意を決して、「……翔ちゃんがしてほしいなら、踏むのも大丈夫だよ……?」
 忌み嫌ってきたプレイを許した。平松は部屋の中央で立ったまま、まだ悦子を抱えて目線だけ向けると、
「どんな風にするの?」
 と訊いた。悦子は抱えられたまま平松の顔を見れずにその背後へと顔を向けて、
「ほらっ、いつまで豚が二本脚で立ってんの? 早くそこに這いつくばってみたら? 踏んづけて欲しいんでしょっ?」
 甘えた声色を変えた罵声に、力を入れている平松が声を震わせながら可笑しそうに笑った。
「そんな台詞、どうやって考えるの?」
「……いつのまにか言えるようになってた」
「ふーん」
 平松は悦子をゆっくりとクッションの上に下ろしていく。「……踏まなくてもいいよ。ていうか、別にそんなのしたくない」
「じゃ、なんでこんな服着せたの?」
 ヒップがクッション収まり、無事悦子の体は着地した。
「ん? ……」
 平松は悦子の問いには答えず、「悦子」
 クッションに脚を折って座らせた悦子を隣から支えるように立て膝で覗きこんでくる。
「俺、ちゃんと愛してるって言ったでしょ? 悦子もぜんぶ俺のものになるって言ったのに、分かってなかったんだね?」
 平松の瞳の奥に、これまで荒々しく組み敷いてきた時に何度も見てきた姦虐の光が灯って、悦子は爪先から髪の先まで身震いが走り抜けていった。
「だから……、ご、ごめんなさい。許して……」
「ください」
「ゆ、許してください……」
「おしおきしていい?」
「……おしお、き……?」
「お仕置き」
 平松が耳に唇を押し付け、耳穴を舌でネロリと舐ってくると、悦子は肩を竦ませて高い声を上げた。「イジメてもらいたい?」
「ううっ……」
 平松を信じることができなかった自分はとても罪深いと思えてきた。「イ、イジメられたい……、イジメて、ください」
 そう言うと、吐いた言葉に身震いが疼きに変わって、クッションの上で伸ばした脚が無意識に擦り合う。
「罰受けたい?」
「……。……翔ちゃん。……愛してる?」
「愛してるよ、すごく」
 慈しみの罰を受けたいと思った。そうすることで犯した罪を贖うとともに、平松を手放しに愛することができるようになる。
「愛してください、たくさん」
「ほしい?」
「ほしい。……罰がほしい」
 言うと体の奥から淫らで僥倖な雫が迸って体がビクンと波打った。平松が悦子を横から抱きしめて、唇を吸ってくる。唾液に塗れた舌が入ってきて口内を探るように蠢くと、悦子が溜めた唾液を啜り上げていく。こんなに気持ち良いなら罰ではない、と思いながら悦子は平松の口の中へ、何度も愛してるという声を放っていた。
 長いキスの後、平松が耳元で名前を呼んできた。緩慢に瞼を開けていくと平松が目の前に差し出している物に焦点が合っていった。
「これ、つけるね」
 大型犬用くらいある革でできた首輪が首元に回されバックルに通される。正面のフックにはチェーンが繋がっていた。平松がそれをクイッと引く。
「あっ……」
 もう一度引かれると、悦子は後ろに手を突いて、鎖に引かれる平松に預けていた上体を起こし、顎を上向かせるように平松を見上げた。首輪を付けられることが、所有物としての扱いを連想させて、不思議な感覚で悦子の体を熱くさせてくる。
「すごく似合うよ。首輪」
「んっ……、恥ずかしいよ」
「うん。恥ずかしいね、悦子」
 たすき掛けにしていた会社の鞄を床に置いて、中を探り、次に取り出した物を悦子の前に見せる。「そのカッコのまま脚開いて」
 平松が取り出した物がローターであることを知って唇を震わせる一方で悦子はおずおずと脚を開いていった。


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