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鬼畜の愛
【ロリ 官能小説】

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鬼畜の愛-2

「あたしと夫が出会ったのは30年前、あたしが13歳、あの人、43歳。ちょうど30ちがうんです」

 わたしは冷蔵庫からビールを出して2つのコップに注ぎ、ベッドに引き寄せたミニテーブルに置いた。わたしは全裸である。振り向くと文香が胸を被っていた布団を外して四つん這いでベッドを軋ませ、そばにやってきた。

 コップを合わせて喉を潤した。わたしも文香も言葉はなく、彼女は恥ずかしそうに股間を手で塞いだ。
 彼女がこれから何を話そうとしているのかわからなかったが、なぜかそばで、体を寄せて聞きたかった。


「母親と2人で住むようになったそのアパートは地震がきたら倒れてしまいそうな2階建ての古い建物でした。6畳2間に台所。お風呂はなく、トイレは付いていましたが和式の水洗で、それまで使ったことがなかったので慣れるまでずいぶんかかりました。2階や隣で用を足しているのが聴こえるんです。そんなボロアパートだった。子供ながらに何だか哀しかったのを憶えています。
 父と母は離婚したんです。両方で浮気してたみたい。物心ついた頃には両親は喧嘩ばかりしていました。家庭はボロボロでした。弟は父に引き取られました。これまで1度も会っていません。仲は悪くなかったけど、遠くへ行ってしまったし、そんな気になれないほど、あたし傷ついていたんです」

話す文香の顔に悲愴な表情は見えなかった。あまりに長い時間が過ぎ去ったからだろうか。

「母は夜の仕事でした。てっとり早くお金を稼ぐにはそれしかなかったのでしょうけど、性に合っていたようにも思えます。何人も違う男を見ましたし、嬉しそうにしていましたから。……3時頃には出て行って、帰りは夜中。時には朝になることもあった。だから母とは休日以外、ほとんど会話はなかった。帰ったらいないし、朝は寝ているし。
 学校帰りに母が男の人と腕を組んで歩いているのを見たことがあります。あれ、同伴出勤だったんでしょうね。大人になって知りました。
 どんなところに勤めているのか、教えてくれませんでした。来られたら困ると思ったのでしょうか。
 新しい学校にはなじめなくて、いまでもその頃の記憶がほとんどないんです。ただ、聞えよがしに、ネクラって言われたことは気持ちが暗く沈みましたね。精神的に不安定だったんですね。みんなに溶け込むことが出来なくて。……卒業アルバム、捨てました……」

「朝ごはん、いつも食パンと牛乳。夜はカップ麺かスーパーのお弁当。ゴミ出す時、うちは他の家の3倍くらいあった。カップや容器ばかり……。母が休日の日は外食。2人で暮らすようになってから母が料理を作ったことはなかった。
 疲れていたのかな……。そう思ったこともあったけど、中学生のあたしに母の気持ちを思いやることはできなかったわ。自分が淋しくて、何に縋っていいかわからず……」

「そんな時、夫に声をかけられたんです」
宮部誠一はアパートの持ち主で、すぐ隣の家に一人で住んでいた。古いけれど大きな家だった。20代中頃に両親を亡くし、遺産を相続して、アパートだけでなく駐車場や土地も貸していて悠々自適の暮らしらしい。
 ケチなのかものぐさなのか、アパートも建て替えてきれいにすれば入居者も増えるだろうに、こんなボロじゃ入り手も減るばかり。とは、引っ越しの挨拶の時に住人の老婆が母に言ったことだ。
「でも、新しくされたら家賃も上がるしね」
くしゃくしゃの顔で笑った老婆もその後一年ほどで亡くなった。

「スーパーで買い物をした帰り、いつも偉いねって宮部が笑いかけてきました。挨拶して通り過ぎようとしたら、学校の勉強はどう?って訊かれたんです。何のことかわからずに返事が出来ずにいると、勉強みてあげるからいつでもいらっしゃい、お母さんにはお話してあるからって言うんです。翌朝、寝ている母を起こして訊いてみるとほんとにそうだった」
 宮部は国立大学を出て一時期大学の講師をしていたという。
「そういえば入居の挨拶の時にそう言われたって母が……。そうだ、忘れてた。あんた、行きなって母が言ったんです。タダで勉強教えてくれるって言ってたって」

「数日後の夕方、あたしは宮部の家を訪ねました。教科書を持って……」
なぜ、行ったのか。
「淋しかったんですね。夜は一人でテレビを観てるだけ。話し相手もいない。友達らしい友達もいなかったから電話もかかってこない。それが毎日でした。それで……」

「宮部はとてもやさしい人でした。あたしのこと、『文香さん』って呼ぶんです。そんな大人みたいに呼ばれたことはありませんでした。不思議な嬉しさがありましたね」

「初めの緊張はすぐに解けていきました。宮部の物言いが柔らかかったこともあったし、教え方が丁寧で勉強があまり好きじゃないあたしでも解りやすくて惹き込まれていったんです」

 1時間ほどして区切りがつき、お礼を言って帰ろうとすると、晩御飯まだでしょう、すぐ支度するね。材料は用意してあるから。そう言って立っていった。
 しばらくして、
「文香さん、どうぞ」
呼ばれてキッチンへ行くといい匂いがして、すき焼きがぐつぐつ煮えていた。
「簡単だけど食べていって。お母さん遅いんでしょう」
家庭の事情は知っている。

「そのすき焼きの味はいまでも忘れません。とろけるような上等のお肉、温かなごはん。それに、甘い香りと湯気。そして何より、一人じゃないっていうことが涙が出るほど嬉しかったのを思えています」

 その翌々日訪ねると、
「文香さん、昨日はどうしたの?待ってたんだよ」
迷ったけれど、遠慮したのである。
「毎日、来てもいいんですか?」
「うん、いいよ。用がある時は前もって言うからね」

「その日から母のいる日以外は毎日のように宮部の家に行くようになりました」  


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