〈熟肉の汁〉-9
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「ハア……ハア………」
アパートから走ってきた恭子は、直ぐにショッピングモールの駐車場へと着いた。
いつも弘樹が止めている場所に、白い大きなミニバンが止まっている。
巨大なガラスはスモークが貼られ、中を伺う事は出来なかった。
……と、助手席のガラスが開き、如何にも頭が悪そうな若い男が顔を覗かせた。
『……お？来たか……後ろに乗れよぉ……』
後部席のスライドドアは自動的に開き、その中には、これまた知性の欠片も見られない中年のオヤジ達が乗っていた。
『奥さんはVIPだから一番後ろだ……』
「さ、触んないでよッ……言われなくたって乗るわ……」
サードシートの右側に座らされた恭子の隣には、なんとも筋骨隆々なオヤジがどっかりと座った。
そして直ぐにミニバンは走り始め、駐車場から出ていった。
『へぇ〜、今日はワンピースじゃねえんだ……』
『クッフフフ……おめかしさせる時間を与えれば良かったかぁ？』
「……馬鹿じゃない？」
赤い薄手のセーターは胸元の膨らみを強調し、ジーンズもまた腰から足へと伸びるラインを際立たせている。
隣のオヤジも、前席の二人のオヤジも、ジロジロと恭子の身体を視姦してくる……それに対して不快であると不機嫌な態度で恭子は訴えているも、まるで効果は無しだ。
「……ちょっと…お金が欲しいんでしょ？何処かＡＴＭに寄りなさいよ！」
あれだけの大金を持ち合わせているような生活は送ってはおらず、恭子の財布には数万円しか入ってはいない。
それでも結構な額だが、男達の要求には少なすぎる。
『……慌てんなよぉ……証拠の品を見てからでも遅くねえだろ？』
『そうそう……だから……こうやってなあッ!!』
「なッ!?何よ!!ちょっと離しなさいぃッ!!」
隣のオヤジが恭子の両手をいきなり掴み、そして前席のオヤジが頭から黒い布袋を被せた。
突如として襲われた恭子は金切り声をあげて叫び、狭い座席の中でジタバタと暴れた。