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指嗾
【元彼 官能小説】

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指嗾-17

「やっ、……だって、制服、よごれる」
「お前が漏らすからだ。知らねーよ。……別にしてほしくねぇんならやんねーし、部屋にも上げてやらねぇ」
 輝子は下唇を噛んで恨みの目をジョゼに向けた。輝子が言わなければ、本当にジョゼは自分を帰して別の女を呼ぶかもしれない。
「やだよ、帰らないからっ。……、……今日もして」
「何を?」
 わざとイライラした声色を出されているのは知っている。だが分かっていても、突き放すようなジョゼの声を聞くと、輝子は捨てられまいと首を振って、
「し、縛っておかして」
 と懇願した。それを聞いたジョゼは唇の端を上げて笑うと、輝子を壁から剥がし、部屋の中へ背中を押した。
「く、靴……」
「脱いでる暇ねえだろ」
 ローファーを履いたまま部屋に上がると、グイグイと背中を押され部屋の中へ誘われていく。
「膝つけ」
 まるで警察が身柄を確保するように肩を下に押さえつけられると、輝子は膝を折って床に付いた。そのまま上体を前に倒されていく。ベッドに顔を押し付けるように身を屈まされると両手を後ろに引かれた。額を押し付けられながら、さっき出て行った女の香りがベッドから漂ってくるのを嗅がされる。ジャラジャラと音がして手首にベルトを巻かれると後ろ手に拘束された。足首にも太ももにも同じようにベルトで繋がれる。最後に首輪をつけられて後ろから伸びた鎖で手首の繋ぎと結ばれた。手加減なく、輝子は腕も動かず、膝を完全に折った脚を伸ばすこともできないほど強く絞められる。日常生活ではありえない、自分では何も侭ならない窮屈な苦しさが、拘束された感覚をより輝子に明瞭に感じさせてくる。
「やっぱ、制服だとエロさ増すな」
 女子高生マニアでもないくせに、拘束姿を面白そうに見下ろされた。ベッドに額を付いていなければ今の体勢を維持できない。その間にも鼻腔を別の女のニオイが充満してくる。
「んじゃ、望み通りしてやるよ」
 背後にしゃがんだジョゼが脚の付け根に揺れているスカートを不躾な手つきで捲ってヒップを顕にしてきた。「あーあー、ケツんとこまで濡らしやがって」
「やあっ……」
 ヒップの割れ目の辺りまで染みが広がっているのを丸出しにされて、輝子は顔をシーツに擦り付けた。屈辱的な姿をジョゼに見られている。視線をヒップにひしひしと感じる。
 輝子がジョゼに会いに行くと、ジョゼは必ず抱いてくれた。そう言うと愛しい人に愛されているように聞こえるが、実際はラブホテルやジョゼの部屋に引き込まれると、成熟途中な体に容赦なく淫虐を尽くされた。長い舌は輝子の秘門をくぐって奥まで穿り回し、まだ蕾であった筈の輝子の悦楽の中枢を次々と掘り起こしていった。輝子の体に淫欲が暴発する場所を掘り当てると、今度は指でその場所を非情なまでに弄り、壊れそうなほどにかき回した。そして最後にその全ての箇所に起こった痺れと疼きを呑み込み、快楽を一体化させるように巨大な男茎が狭い場所を拡げて入口から奥まで全て蹂躙した。
 抱いて欲しいと言ってやってきた輝子だったが、あまりの苛烈さに尻込みすることもあった。だが躊躇すると姉はこうした、姉はこうだったと引き合いに出されて、すぐにジョゼに許していた。後から考えると、本当に姉がそんなことをしたかは定かでない。輝子が失禁してしまったほどの責めを姉が受け入れるとは思えない。しかし後悔や腹立たしさはなかった。その時は泣き叫んでしまっても、顧みるたび、結局はまたして欲しいという結論に達してしまう。ジョゼと逢うようになってその繰り返しだった。どれだけジョゼに淫乱に堕とされようとも、関係を止めるつもりはない。ずっと続けたい。
 中学を卒業した春休み、激烈な性交が終わったあとアフターピルを口に押し込まれ、乱れる息の中どうにか嚥下して、ラブホテルの広いベッドに全裸でぐったりと身を投げ出していると、脚の間にジョゼの放った粘液が垂れてくるのも厭わずに、
「ね……」
 吐息混じりに輝子はジョゼに話しかけた。
「ん?」
 喉元につかえていた錠剤を唾液を飲んで食道に落とすと、輝子はジョゼの姿を探した。あれだけ激しいセックスをしたのに、もう立ち上がって冷蔵庫から出したビールを飲んでいる。
「お姉ちゃんと、わかれた、ってほんとう?」
 昨日の夕食の席で、最近の恋人事情を問われた姉が、こともなげにジョゼと別れたことを報告した。どんどんモデルの仕事量が増えて、今や大学と両立するのがやっとなので、会う時間が割けないからいっそ距離をおくのだ、と言った。愛里菜からは失恋の傷心が窺えなかったから、両親も慰めることもなく、そう仕方ないね、の一言で済ませた。
「ああ。別れたよ」
 喉仏を蠢かせてビールを飲んだあと、ジョゼもまたこともなげに言った。
「ふられたの?」
「言い出したのは愛里菜だから、そのとおりだな」
「ふぅん……」
 ジョゼはビールを持ったままベッドの方へ戻ってきて輝子の身の傍に座ると、
「愛里菜、何て言ってた?」
 と問うた。
「仕事が忙しくて会えないから、距離を置きたいって」


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