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痴漢専用車両へようこそ
【痴漢/痴女 官能小説】

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陽子のお仕事-3

ここ最近、陽子を悩ませていたのは、父親の『陽司(ようじ)』からの電話だった。毎月最低一度は家に顔を出す事が、陽子と陽司との取り決めだったが、ここ最近、顔を会わせば同じ事を繰り返す父親にうんざりしていた陽子は、その義務をわざと怠っていたのだ。

その事を咎める電話を避けるため、家からの電話は勿論、本業は各務家の秘書である手島からの連絡にも一切出なかったのだ。

『どうして、顔を出さないんだ』

「し、仕事が忙しかったのよ!」

陽司の繰り返しの問いかけに、正直に【ウザい】とも言えないので、取り敢えず仕事のせいにした。陽司は星司ほど各務家の能力は強くない。電話器を通してなら全く影響ない事が陽子にとって幸いだった。

『仕事が忙しいだと。手島から聞いてるぞ。その仕事はワザワザお前が抱え込む仕事じゃないだろ』

父親の決めつけるような言葉に、陽子は負けん気を刺激されてカチンときた。

「どういう意味よ!あたしが真剣にやってる事にケチを付けないでよ」

『どう言う意味も、こう言う意味もあるかっ!オーナーのクセに平の課長だと?一体何をやってるんだ』

「だって、その方が皆の意見を聞き易いんだもの」

『お前は水戸黄門か!』

陽司は呆れかえった。

「どうやろうが勝手でしょ。自分で立ち上げた会社なんだから」

『そう思うなら、福島を使うな。可哀想に、訳もわからない業界言葉に振りまわされて、相当参っているぞ』

陽子は自分の技術と才能を試すためにIT企業を立ち上げていた。企業向けのアプリを制作する狭い範囲を狙った会社で、新進を受け入れるITの土壌が、そこそこの成果を上げ始めるまでに成長させていた。

ただ、若い陽子が前面に立つよりも、別に代表者を立てた方が動き易いと思い、表向きの代表者として、気心の知れた各務家の使用人の福島を使っていた。

普段は各務家のハード向きの雑務をこなしていた福島が、ちんぷんかんぷんのIT関係の単語に悩んでしまい、陽司に泣きついていたのだった。

「もう、福島さんたら『やってみなさい』だけ言ってくれるだけでいいって言ってたのに」

『会社の代表者がそんなワケにいくか』

「じゃあ、お父さんが替りにやってよ」

『いいのか』

陽子はついつい流れに乗って言ってしまったが、父親の答えに楽しそうな雰囲気を嗅ぎ取り、自分の言った事の恐ろしさに気付いた。

「あっ、ウソよ、ウソウソ!ごめんなさい。福島さんに負担の掛らないようにしますから、もう少し見守ってて」

陽司が乗り込んできたら、振り回される事が必至なので、陽子は慌てて懇願した。

『まあいい、福島にもう少し我慢しろと言っておく。それよりもだ…』

陽子はそれに続く言葉を想像してうんざりした。

『星司はどうなんだ?『お前が任せておけ』と言うから、放っているが、何か進展があったのか』

各務家の関心は長男の星司の事だ。代々各務家では、家督は早く譲る事を是としていた。他者に対する影響力を分散するのが目的だった。カリスマが居なくなっても直ぐに対応できるようにする各務家の知恵だ。

しかし、その家督を引き継ぐはずの星司は、今はまだ不安定な状態なので、各務家の当主として家督を継げる段階にない。

親族の中には、一度親族から抜けた精神的に不安定な星司よりも、陽子に婿を取り家督を継がすべきだと言う意見があった。




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