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鎖に繋いだ錠前、それを外す鍵
【フェチ/マニア 官能小説】

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鎖に繋いだ錠前、それを外す鍵 1.-9

 上躯を抱きかかえるように身を小さくしている友梨乃の体を少し持ち上げて、ゆっくりと慎重にベッドの上に倒していく。友梨乃の頭が枕に収まるように仰向けに寝かせると、シングルベッドの幅はそれほど広くはなかったから、傍らに添い寝をするように寄り添った。友梨乃のヘソの辺りにはだけ落ちていたバスタオルを全て取り払うと、あれだけ胸元が隆起するバストながら、それを支える肢体は驚くほどしなやかで、お腹から下腹部が引き締まった先に脚が艶めかしく伸びているのが薄闇の中でも分かった。下肢を陽太郎の目に晒されて、友梨乃は脚を少し重ねるように摺りあわせた。
「ユリさん……」
 友梨乃の頭上から囁く。「もう少しだけ、明るくしていいですか? 部屋」
 今まで経験してきたどんな相手よりも興奮をかきたてて止まない友梨乃の体をもっとハッキリと見たくて、友梨乃に頼んだが、
「ダメです……」
 と拒否された。残念に思ったが、我を通して友梨乃にイヤな思いをさせたくはない気持ちすら起こるほどだったから、陽太郎は友梨乃の唇から首筋、肩へとキスを降らせながら、バストを覆っている腕の手首を持ち、ゆっくりと引き剥がしていく。
「ん……」
 バストが晒されると、友梨乃は悶えるような声を上げて、伏せている瞼を更に強く閉じたのが見えた。
「……電気点けませんから」陽太郎はもう一方の友梨乃の腕も体の側に下ろしながら、「敬語はやめてください。飲んでた時みたいに話して欲しいです」
「……そ、そのほうが、いいんですか?」
「はい」
「わ、……わかった」
 陽太郎は身を起こして、友梨乃に覆いかぶさるように見下ろした。暗みを挟んで目が合うと、途端に友梨乃は顔をそむけて、ベッドに降ろされていた腕で再び胸を隠そうとしたが、陽太郎はその手首をつかみ、マットレスに押し付けてさせなかった。
「あ、あまり、見ないで」
「暗くて、見えてません」
 だが暗い中でも、陽太郎の眼下には友梨乃の肢体が横たわり、その純美を伺うことができた。AVで「巨乳」「爆乳」と銘打たれている物に出演している女は往々にしてただ大きいカップ数を誇るだけで形に美しさを感じなかったり、陽太郎の好みに合わないバストの持ち主が多かったが、今、眼下に広がっている友梨乃のバストは充分な質量を持ち女性らしい形を維持しながら、その頂点を飾っている慎ましやかな乳首が艶美を遂げていた。
 陽太郎は緩やかに括れたウエストに指を這わせると、ゆっくりと友梨乃の体を上らせて、重力に美しく撓んでいるバストを優しく捏ねた。その柔らかさと手応えの心地よさが手のひらから伝わってくる。友梨乃は暗闇の中で静かに息を吐いて、陽太郎の掌から逃れるように身を捩った。指から肌の震えが伝わってくる。
「ユリさん……」
 思わず名を囁いてしまった。ものすごく愛しくなってきた。陽太郎は持ち上げたバストの先端に密やかに息づいていた乳首を唇を触れると、舌で湿らせながらはみ、吸い上げていく。
「んんっ……」
 乳首が充血して硬くなって、唇に挟んだ時の感触すら心地よい。陽太郎は微かに波打つ滑らかな肌に唇を這わせて片手で脇腹からウエスト、そして腰骨から中に切れ込んで脚の間に手を忍び込ませていった。腰に巻いたバスタオルの袷せからは、興奮が漲って緊迫した男茎が飛び出していた。
「あっ……」
 シャワーの雫が拭い切れなかったのかもしれない。まだ水分を含んでしおたれたヘアをかき分けるように奥に進もうとすると友梨乃が小さく声を上げた。
(あれ……)
 柔らかい丘の狭間に触れたが、そこは乾いていた。これまでのキスやペッティングで、友梨乃の性感も高まってきていると思っていたから、未だ全くと言っていいほど悦びを示していないそこに触れて、自惚れを知らされたようで恥ずかしくなる。
(あまり指でエロくやったら、イヤやろな……)
 一瞬AVでの愛撫のように脚を大きく開かせ、はしたなく、粗野ですらあるように弄り、友梨乃のその時の反応を見てみたい欲望にかられたが、今手の中にある友梨乃にそんな狼藉を働くのは畏れ多いことに思えるほど陽太郎は愛しさに包まれていたから、身を起こすと軽くヘソから下腹、脚の付け根に丁重にキスを這わせて、膝の裏に手を当てると折って開こうとした。
「はっ……」
 陽太郎の意図を察して友梨乃の身が硬くなって拒まれる。だが陽太郎は友梨乃のそこへキスをしたかった。単なる淫欲のためではない。友梨乃を愛しみ、快楽に浸らせてやりたい思いがあって、陽太郎はまだ脚が開く前からヘアに息がかかるほどに顔を寄せていった。
「やっ……」
 友梨乃が両手を伸ばして陽太郎の額を抑える。羞恥の抵抗と見て取った陽太郎は手首を掴み、再び側体へ下ろそうとしたが、思いのほか友梨乃の腕に込められた力は強かった。
「ユリさん……」
 名を呼んでも下ろそうとする額の手も、開こうとする脚も動かなかった。「……あの」
 陽太郎が友梨乃に言おうとしたとき、
「……ごめん」
 と聞こえてきた。
「え……?」
「……あ、あのね……、や、やっぱり、……ムリ……」
 目線を向けると陽太郎の額を抑えたまま、逆の手を強く寄せた眉間に当てているのが見えた。「ごめん。……ごめんなさい」


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