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鎖に繋いだ錠前、それを外す鍵
【フェチ/マニア 官能小説】

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鎖に繋いだ錠前、それを外す鍵 1.-7

 智恵は友梨乃に一万円札を渡しながら、
「ユリ払ろといて。あ、ヨーちゃんは出さんでええよ。一応、歓迎会やし」
「いや、悪いですよ。ちゃんと出します」
「えーし。……もーちょっとユリとしゃべり楽しんどいて」財布をバッグに仕舞った智恵は、あ、と何かを思いついたようで、「私帰ったら、じゃー私らもー、って帰ったらあかんで? ユリがちゃんと喋れるように鍛えてやってよ。それで、飲み代チャラ」
「え……」
 本当に智恵が去ったのを機会に席を立つつもりだったのだろう、友梨乃が不安げな表情で智恵を見上げた。
「何かようわかんないっすけど、わかりました」
「そー、よーわからんけどわかった、ってそれが大阪人のええとこ」
 智恵が笑って、「ヨーちゃん、ユリのおっぱい何カップかまで聞き出すのが今日のノルマね? 次バイトで会った時、聞くから。私正解知ってるし」
 智恵がヒールを履きながら言う。陽太郎は笑顔のまま友梨乃を一瞥すると、自分の体の前を隠すように身を縮めるポーズをしていた。
「いやいや、ノルマでかすぎです」
「あかん、宿題やで。……っと、やばいやばい時間。ほんじゃ、ユリ、ごめんね。今日私が洗濯当番やのに」
「あ、いい……、私やっとく」
 ニットの前を押し抱いたまま、友梨乃が言った。
「ほんじゃ、マジでゴメンっ。また飲みに行こーね!」
 と言って智恵が店を去っていった。
 智恵が去っても、友梨乃はバストをガードするように腕を組んだままだった。いや、そこまで警戒せんでもええやん、と思った陽太郎は、
「洗濯当番ってなんですか?」
 と話を逸らしてみた。
「……あ、一緒に住んでるんだ。私たち」
「あー、そういうことですか。ルームシェアってやつですね」
「うん、そう」
 だが話は逸れ切れず、友梨乃は腕を崩さなかった。正面の智恵が去ったために、四人がけの席に何故か二人並んで座っている格好になった。友梨乃は陽太郎と目を合わせず、グラスを手にとってカシスオレンジを二、三口飲んだ。ずっと一口ずつ少量で飲んでいたのに比べると、多めに口に含んだことになる。グラスを持っていない方の腕はまだニットに回されているとこを見ると、その様子に緊張か困惑を紛らわそうとしていると考えた陽太郎が、
「あの……」
 と問うと、
「な、なに?」
 友梨乃は肩を跳ねさせた。
「……そんな身構えんでもええんちゃいます? 聞きませんて。智恵さんに聞かれたら適当に答えておきます」
「何て答えるの?」
「ま、予想で。……ハズレてたら、ユリさんがウソ教えたってことにしといてください」
「……」
「行きましょか」
「……え?」
「よー考えたら、ユリさん、明日も開店から仕事ですよね? あんまり遅いと大変ですよね」
「あ、うん……、そうだね」
 陽太郎は店員を呼び、会計をするように言った。友梨乃はまだ半分以上残っているカシスオレンジを飲もうとする。
「そんなムリせんでも。もったいないけど、残しましょうよ」
「そ、そうだね」
 店員が伝票を持ってきたのを陽太郎が受け取ろうとすると、友梨乃が、こっち、というように手を差し出した。受け取ったレシートの金額を確認して財布を出している。
「あ、出します」
「だめだよ。智恵に言われたし」
「いや、ユリさんが払ったってことにしといてもらえれば」
「そんなウソばっかりつけない」
 どうしたんや? 多少ムキになっているように見える友梨乃は伝票を持ったまま立ち上がった。陽太郎も、すんません、ごちそうさまです、と友梨乃の背中に言って立ち上がった。二人で新大橋通りに出る。日付が変わるまでもう間もないから人はまばらだった。
「家、どこですか?」
「この近くなんだ。歩いて帰れる。藤井くんは?」
「俺は落合です。東西線。……暗いですから送っていきますよ」
「い、いい……。一人で帰れるから」
 友梨乃は智恵が帰ってから様子が変わった。あまり無理強いしてもいけないと思った陽太郎は、
「……方向、あっちです?」
 と北を指さすと、友梨乃が頷いた。「じゃ、せめて茅場町まで一緒に行きましょ」
「う、うん」
 と言って二人で並んで歩き始めた。こーやって歩いてると付き合っとるように見えんのかなー、と思いながら、自分とさほど背が変わらない友梨乃の横顔を垣間見た。仄暗い夜闇の中でも、睫毛の長さと唇の麗しさが分かる。前方からの往来に気を付けながら、隠れ見ていたつもりだったが、
「また、胸……。見てる?」
 と友梨乃が前方を見たまま言った。
「あっ、ちゃいますって。……あん時は名札、見てたんです。ユリさんの苗字、何て読むんやろな、って思って」
「でも、今は名札なんかしてません」
 やばい、言われてみればそうだ。しかも急に敬語に戻ってる。……ええい、ヘタに言い訳や嘘をつくよりも……。
「今はユリさんの顔みてました」
「え、何かついてますか?」
「……いえ、キレイな人やなー、って思ってただけです」
「そんなこと、誰にでもすぐ言ってるんですよね?」
 何となくベタなパターンになってきたな、と思った。ここで、案外マジメなところをアピールして、「え? 私だけなんだ」と思わせればいい。


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