爛熟女子寮（３）-1
絵理、玲奈、サリー、そして私。４人は言われた時間の５分前に浴場の前に集まった。着替えやシャンプーを入れたビニールバッグを抱え、全員ジャージの上下である。私と絵理はえんじ色、玲奈はブルー、サリーはブランド物のグレーのウエア。別に寮内での服装に決まりはない。先輩たちの多くがそうだったので真似をしただけである。そのまま寝られるから楽だった。
「誰もいないわね」
サリーの言葉にみんなの目は曇りガラスの扉に向けられた。電気は点いているけど人の気配はない。ここは別棟になっていて、本館の音や声はほとんど聞こえない。
「先に入っちゃまずいよね」
「まずいよ」
１０時きっかりにヒタヒタとスリッパの音が聴こえて、美和子と由希が連れ立って現われた。
「おまたせ。さあ、入りましょう」
美和子のにこやかに微笑んだ顔はさっきとはまるで違って優しさに溢れた表情である。
（とてもボスとは思えない……）
ちょっとほっとした。
無言のまま後に従って脱衣所に入った私たちは、二人と少し距離をとって寄り添うように並んだ。
衣類は扉のついたボックスに入れる。脱ぎながらふと美和子を見ると、すでに裸になって立ち尽くしていた。
（すごい……）
想像以上に熟れた肉体に私は圧倒された。
形よく豊かな乳房。ややたるみがあるのは重みがあるからだろう。乳首はツンと上を向いている。そして大きく張った腰回り。前を隠すこともなく、真っ黒な繁みを堂々とさらけ出している。
由希も同じように横に立っている。陰毛は美和子よりだいぶ薄い。胸も一回り小さめだが、全体にはたっぷり肉のついた大人の体形である。
ちらっとサリーの下腹部を見る。デルタは縮れた茶色っぽい毛に被われて、もやもやとした感じだった。
（髪は黒いのに……）
私は自分のを見下してみた。鏡でも見たことがあるけど、改めて見比べて濃くも薄くもないなと思った。
「それじゃ、横に並んで」
言われるまま横一列になると美和子が正面にきて私たちの体を眺めた。私は手にしていたタオルで前を被った。他のみんなもそうだった。かすかな動きでわかる。いくら女同士でも、まじまじと見られたら恥ずかしい。すると美和子は、
「タオルは使わないから置いてって」
それだけ言うと、
「入りましょう」
くるりと背を向けて浴室に入っていった。顔を見合せて首をかしげる私たちを由希が笑いながら促した。
「みんな、入るわよ」
（いったいどういうことなんだろう……）
仕方なくタオルを置いて、シャンプーを持って歩き出したけど、玲奈はシャンプーの容器で股間を隠していた。彼女はとても薄いのだ。少し離れて見ると無毛に見えるほどだ。数日前お風呂で一緒になった時、とても気にしていた。
「あたし、あんまり生えてないの。子供みたいでいやだわ」
「どれ、見せて」
産毛のように細くて、しかもまばらである。
「ちゃんと生えてるじゃない」
「薄いのよ」
「濃すぎてもじゃもじゃよりいいわよ」
「そうかな……」
「水着着る時、楽じゃない」
そういえばそうかと思ったのか、笑っていた。でもやっぱり気になるようだ。
美和子はすでに湯船の中にいた。
「シャワー浴びたらいらっしゃい」
にこにこしている。上機嫌のようだ。私と目が合ったサリーは口を尖らせてみせた。振り回されていることが不満のようだった。
浴槽は１０人以上入ることができる広さがある。一年生は自然と端に寄って先輩との距離をとった。
「気持ちいいわね」
美和子が声をかけてきて、私は愛想笑いを交えて応じた。
（これって、何の意味があるの？」
そばにいた絵理に話しかけようとすると彼女が心持ち離れていった。小さな波が立って背後に気配を感じた。美和子である。
「佐伯さん、同じホルンね。仲良く過ごしましょうね」
すぐに返事が出来なかった。
（！……）
驚いた。お湯の中で美和子の腕が私の腰をそっと包んできたのである。思わず身を硬くしたのは快感が走ったからだった。
（うう……）
触り方が微妙だった。まるで薄い布が擦れていくような掌の動き。腰から胸の膨らみの下あたりをさすりながら何度か移動して、最後は私の背中に自分の乳房をぐっと押し当ててきた。
故意かどうかはわからない。でも、感じてしまった。女の人に触られて感じるなんて想像したこともない。
「よろしくね」
美和子は次に絵理に寄り添って同じ事をして、サリー、玲奈と続いていった。見ていると彼女たちも体をビクッと震わせていた。感じたのだと思う。
逆の順番で白幡由希がやはり後ろからそっと手を伸ばしてきて囁いた。
「よろしくね」
「はい、こちらこそ」
私が身をよじったのは離れ際に乳首を撮まれたからである。
２人は浴槽から上がると洗い桶に腰かけて、
「いまのは私たち流の挨拶よ」
「とてもいいでしょう？肌を触れ合ったんだから、これ以上の表現はないと思うわ」
（やっぱりレズなんだ……）
絵理の横顔は強張っている。彼女も同じ事を考えているのだろうか。
「佐伯さん、三田さん、来て」
美和子に呼ばれて立ち上がった時、頭がぼうっとなった。顔も体も火照っている。湯あたりしたのではなく、昂奮で体内から熱くなっている感じだった。