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花の咲くころ
【女性向け 官能小説】

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「花!」
「はい」
「相手を確かめないでドアを開けちゃダメだろ」
「ん。ごめんね」
「こいつらだったからいいようなものの」
「ん。気を付ける」
「本当に気を付けて」

そんなあたしたちのやり取りをニヤニヤしながら見ていたお客さんは
「しゅんちゃ〜ん。俺たち、お邪魔?」
とドアと壁にそれぞれが寄り掛かってお酒の袋をぶらぶらさせた。

「ったく。来るなら電話しろよ」
「え〜。今までそんな事言ったことないじゃん」
「駿ちゃん、いつでも宅飲みオッケーじゃん。い・ま・ま・で・は」

2人のそんなやり取りに大きく舌打ちした駿ちゃんは
「花、夕飯こいつらが食べる分ある?」
と聞いたので
「何かおつまみも作るから大丈夫」と言うと

「花ちゃんごめんね。急に来ちゃって」
と二人は苦笑いした。

あたしが台所で用意をしているなか
3人の飲みが始まった。

テーブルに付く前に紹介された話だと
2人は駿ちゃんの同期で、同じ部署の仲間らしい。
何百人といる同期の中で駿ちゃんの経営管理部に配属されたのは
この3人だけで、とてもウマがあって良く宅飲みをする仲なんだと
山田さんが教えてくれた。

「いきなりなんだよ」
と駿ちゃんが文句をいえば
「だって知らなかったんだもん」と
野口さんだと紹介された人が笑う。
「だよな。来てほしくないなら先に言えよ」
と山田さんも笑ってビールで乾杯を始めた。

「いや。来年の主任試験のことでさ」
「ああ」
「本当はあの会社、1番早くて29か30歳で主任試験を受けるだろ?」
「だな」
「俺たち、先日新田部長に受けないかって打診されたじゃん」
「この話、外で出来ないだろ?まして会社近くのあの居酒屋は
誰に聞かれてるか分からない」
「だよな。2年も早く俺たちが受けるって知ったらさ。
2期上までのやっかみを買うよな?」
「27で主任になった前例ないの?」
「ないらしい。新田部長に確認した」

駿ちゃんたちはあたしに分からない会社の話を始めた。




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