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LADY GUN
【推理 推理小説】

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暗殺者・瀬川涼子-2

 杏奈は若菜を止めなかった。じっと見つめていた。
 「今すぐ殺したい気分よ…!」
本当に引き金を引きそうな鬼のような表情だ。
 「お、お願いです…殺さないで…ください…」
体が動かない。篠原は膝までガクガクしてきた。
 「あんた警察を裏切り、よくも田口徹の犬になれたものよね…?私達がどんな思いで田口を追っているか分かってんの!?」
銃口を強く押し付ける。
 「う、撃たないで…!お願いします!許して…許して下さい…!」
 「いい?あんたが遠隔操作でうちのシステムに入り込み捜査ファイルを盗み見てるのは分かってんのよ!それが分かっている以上、もはやあんたが死んでも私は別に困らないのよ!ぶっ殺したい…、ぶっ殺したいわっ!!」
若菜は銃で篠原の顔面を激しく殴りつけた。
 「グワッ…!」
顔を抑えて床にうずくまる篠原。若菜は篠原の襟元を掴み顔を寄せた。
 「あんたさぁ、警視庁が今一番逮捕したい人間の味方になってさ、ただで済むと思うの?どうせ田口に弱みを握られたんじゃないの?奥さんを浚われて脅されたんでしょ?バレそうになったら逃亡資金はたんまりやるよとか言われてさぁ。」
 「はい…」
 「逃亡資金なんてよこす訳ないでしょ!?馬鹿たれ!!」
 「ひっ…!」
顔の間近で鬼のような顔をして凄まれた篠原は失禁してしまう。
 「どうして相談しないの…。奥さんを守りたい気持ちは分かる。でもね、犯罪に屈してはいけないでしょ!?あんた警察官でしょ!警察官ならどうするべきだったか分かるでしょうが!」
若菜は篠原を投げ飛ばした。
 「すみません…ごめんなさい…ごめんなさい…」
泣きながら土下座をして謝り続ける篠原に容赦しない。
 「あんたさぁ、高田一家のみ不法入国に一役かってるでしょ?明後日に日本に戻ってるわよねぇ?」
 「は、はい…。」
 「成田?羽田?」
 「な、成田…です…。」
 「何時?」
 「スペイン発、11時着の便です。」
 「スペイン?フランスじゃないの?」
 「予定を変更してスペイン観光をしてから帰ってくるそうです。」
 「呑気なもんだわ。間違いないわよね?」
 「はい!間違いないですぅ!」
 「そこに田口は来るの?」
 「分かりません!でもしきりに潮来インター付近の当日の警備状況を気にしていたからきっと高速道路を使い潮来インターで降りるつもりだと思います!」
 「そう。」
田口は来ないと感じた。しかし高田一家の逃走ルートは読めてきた。明確な到着時間とその逃走経路を若菜は知りたかったのだ。だから東京へ来た。
 若菜の様子が普段通りに戻った。
 「篠原さん、あなたの奥様はいなぎ市中央署で保護しています。」
 「えっ…?」
若菜は寂しそうな顔をしながら言った。
 「田口なんかじゃなく私を…いや警察を頼ってくれたなら罪を重ねずに済んだのに…。」
そう言って会議室を出て行った。若菜は膣楽園の立ち入り捜査の時にそこで働いていた女性の中に篠原の妻がいる事に後で気づいたのであった。その時に田口に捜査状況を漏らしているのは妻を拉致され脅されている篠原なのではないかと思ったのだ。その事は誰に言わず黙っていたのであった。


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