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野郎共のワールドカップ
【スポーツ 官能小説】

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終戦-5

ワールドカップ予選リーグ最終戦、日本対コロンビア戦が始まる。
俺はピッチサイドから日本代表の、サムライ達の活躍を見守っている。
勝たなくては予選突破は不可能だ。
その重圧を感じながらも、選手達の表情は硬くなっていない。
ここまで来れば出来る事をやるだけだ。
自分達のサッカーをして勝ちに行く。
ある種の開き直りで全てを吹っ切ってプレイするサムライ達。
俺の真一さんも今回は先発出場している。
前半開始から躍動感を見せ、積極的なサッカーでコロンビアを圧倒している。
とはいえ、既に決勝トーナメント行きを決めているコロンビアは大半が控え選手であり本気ではない。
だからこそ日本は勝つチャンスなのだ。
サムライ達は果敢に攻め続ける。
ゴールまであと一歩まで迫る。
しかし、カウンターを食らってしまい不用意なファウルでPKを取られてしまう日本。
最悪だ。
もう無理だ。
俺は心が折れてしまいそうになる。
案の定PKは決められてしまう。
しかしサムライブルーはまったく諦めていない。
その後も猛攻を続け、コロンビアディフェンス陣に阻み続けられるも前半最後の最後で豊田さんのクロスから谷田さんがヘッドでゴールを決めた。
まだ終わっていない。
これならいける。
前半戦を善戦し、意気揚々と引き上げるサムライ達。
そんなサムライ達を笑顔で迎える偽フック。
彼はまだばれていない。
あまりの陽気で楽天的な偽フックの表情に、自信を深めるサムライイレブン。
しかしこれが間違いだった。

後半になるとコロンビアは背番号10のハメオ・ゴンザレスを投入。
エースである。
彼が出てきてからは自陣深くまで切りこまれるようになりピンチの連続となる。
そしてあっさりと2点目を決められてしまった。
焦る日本代表、焦る通訳。
それでも悠然と構える偽フック。
痺れを切らした通訳が偽フックに指示を出し選手交代が始まる。
しかし全ては後手後手になり日本は攻めきれず、逆にボロボロになっていく。
3点目、4点目。
カウンターから成す術無く失点していくサムライ達。
それでも攻めなくてはいけない日本代表。
俺はもう見ていられなくなった。
そして無情にも試合終了の笛が鳴る。
日本代表の、サムライ達のワールドカップは、ここで終わったのだった。

みんな表情が重い。
不甲斐無い自分達を責めている。
ある選手は泣き崩れてしまった。
でも、ここまでよくやったと俺は思う。
控えとはいえ格上のチーム相手に善戦した。
ただ最後は運が足りなかったのだ。
偽フックも敗戦の弁を語っている。
日本の健闘を称えながら相手が一枚上だったという旨だ。
途中からは今後の日本代表について語っている。
それは宛らフック監督の遺言のような内容だった。
フック監督は最期の最期までサムライ達の事を思っていたのか。
彼の死をする少ない人間はこれを聞いて泣き崩れてしまった。
勿論俺も。
後日、偽フックは監督辞任を表明した。
その後表舞台からは姿を消し、足取りを掴む事はできなくなってしまう。
フック監督の傍らで、敬二さんや真一さんも無念の色を顔に出しながらインタビューを受けている。
厳しくもこれがプロの務めである。
これでこのチームは解散だ。
それぞれが胸の内に想いを秘めながら、ピッチを去って行った。

無残な敗戦で日本代表の戦いは終わってしまった。
明日には現地ブラジルで、チームは解散し散り散りになってしまう。
代表に選ばれる選手はそれぞれが忙しいのだ。
このチーム最後の夜。
俺は真一さんとベットを共にしていた。
「お前とこうして過ごすのも今夜が最後だな。」
「真一さん、俺、寂しいです・・・。」
この1カ月間色々な事があったが、俺は常に真一さんの傍にいた。
「俺はまだまだだ。自分の未熟さを痛感した。」
肝心のワールドカップで真一さんの輝きは見る事が出来なかった。
俺のサポートも力不足だったのだろう。
「すいません、俺の力が及ばず、本来の調子を崩させてしまって・・・。」
責任の一端を感じる俺。
「あぁ、そうだな。お前を抱いてしまってから調子を崩したのかもな。」
真一さんも認めてしまう。
やはりショックだ。
次はもう無いだろう。
俺は胸が苦しくなる。
「やはりお前を頂くには早すぎたようだ。お前の事ばかり考えてサッカーに集中できなかった。俺は最低だ。」
「真一さん・・・。」
「俺はお前に相応しい男になる。次にお前を抱くのは4年後、ワールドカップで結果を残してからだ。」
熱い決意を語る真一さん。
ますます惚れてしまいそうだ。
だが大事な事を思い出す。。
4年経てば俺も20だ。
「次は俺も出ます、今度は代表に選ばれますよ!」
「あぁそうだな、待ってる。楽しみにしてるぞ!」
こうして決意新たに最後の夜を過ごしていった。

翌日、チームはここで解散となる。
敬二さん、長崎さんらとはもうお別れだ。
「お前は最高だったぞ。」
「次はイタリアでな!」
それぞれが次の戦いの場に移っていく。
真一さんもここからは別行動だ。
俺も自分の戦いがある。
目指す道は違う。
だがみんなサムライだ。
それぞれが技を磨き、所属チームで結果を出して、サムライブルーに選ばれる。
もう、次の戦いは始まっている。
他の代表メンバーもやがてはブラジルから帰り、各々のチームに合流するのだ。



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