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LADY GUN
【推理 推理小説】

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同じ穴のムジナ-3

 そんな話をしているうちに白山の倉庫に到着した。もはやドアも壊れ電気もつかない。薄暗い倉庫の中へ入って行く。
 「もしかしてここって…」
詳しくは分からないが涼子は気付く。
 「私のお父さんと私の恩師とも言える皆川静香さんが亡くなった場所…。」
そう、父親である正芳が高田の銃弾に、そして静香が田口の銃弾に命を奪われた忌々しき場所だ。若菜は静香が倒れていた場所までゆっくりと歩き、そしてしゃがんだ。
 「先輩の血…」
床に染み付いた黒く変色したシミを指でなぞる。
 「本当は私が死ぬべきだった…。私が死んで先輩が生きていた方が早く田口事件を解決していたはず…。お父さんが死んだ時は悲しかった。物凄く悲しかった。でもそれは刑事と言う仕事をしている以上危険はつきものなんだと理解して自分を納得させてた。だから悲しみだけだった。犯人に恨みはあまり感じなかった。でも先輩の時は違う。初めは悲しくて生きているのも嫌だった。死のうかと思った。でも私の中で死にきれない理由が日増しに大きくなってきた。それは恨み…。田口に対する恨み。このまま私が死んだらその恨みは誰が晴らすのだろうと考えた。私は…」
ここで若菜が立ち上がる。暗闇に浮かぶ若菜の表情は鳥肌が立つほどに恐ろしいものであった。そして涼子さえも驚く言葉が口にされる。
 「私の復讐は田口を逮捕する事じゃない。田口を…殺す事…。」
 「えっ…?」
耳を疑った。現職の刑事がどうどうと殺人を口にしたのだ。しかも全国でも指折りの優秀な刑事から出た言葉に衝撃が走る。
 「刑事を続けてれば銃に困る事はない。田口を殺すには他の手段じゃダメ。田口は銃で殺す。銃で殺せなきゃ意味がない。私は優秀な刑事じゃない。田口を殺すために刑事をしている背徳者。全ての努力も捜査も、全て田口徹を殺す為。それ意外に理由は…ない。」
物凄い殺気だ。決して嘘を言っていない事はその姿を見ていれば分かる。若菜の迫力に涼子、中島、工藤は足が竦んでしまうぐらいに恐ろしさを感じた。
 「私は田口を追い掛ける事にはもう飽きたわ。今からは田口をこっちに呼び寄せてやる。それは普通の捜査では絶対出来ない事。だから私は刑事の枠からはみ出た行動を起こす。その為には瀬川さん、そして探偵さん達の力が必要なの。悪いけど嫌とは言わせないわ。」
嫌と言ったら今すぐ殺されそうな空気に3人は体が動かなくなりそうであった。


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