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カウントダウン
【女性向け 官能小説】

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「どうしたの?」

手をつないで少し歩いた木陰のベンチに座って
梅雨になりそうな空模様を眺めていた。

「あいつと何の話をしてたの?」

「ん?あぁ。大したことないよ」
「教えてよ。気になる」
「・・・・あいつがいつまでも、自分が私のファーストキスの相手だって言うから
みんながいい加減、昔の話は忘れろって言ってたの」
「―――そっか」

蒼くんは両手で顔を隠してはぁ、とため息とともに大きく息を吐きだした。

「ごめん。俺、余裕ない」

どこまで本気なのか?
このヤキモチさえ、知らずのうちにカウントされているの?

「俺が、里香のファーストキスの相手になるはずだったのに」

それは―――
私も思っている事だよ。

本当に大好きだった。
ファーストキスは蒼くんがいいと思ってた。
お付き合いした時、何度もそう思った。

「過ぎたことだよ」

過去は変えられない。

「里香。一緒に講義をサボろう」
吹っ切って笑顔を見せた蒼くんは
「ずっと一緒にいたくて授業をさぼるカウントだな」

そういってほほに軽くキスを落として
手をつないで校門を抜け出した。





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