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LADY GUN
【推理 推理小説】

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謎の女-9

 亮子がゆっくりと中へ入って来た。そして若菜の前に立ち囁きかけた。
 「あなたの欲しいのは、このとても気持ちいいイボイボバイブ?それとも魔法の白い粉?ンフッ…」
 「…」
若菜は顔を上げる。バイブにもドキッとしたが、それよりも当然袋に入った白い粉に大きく心臓が鼓動した。
 「ん…?」
顔を上げた若菜の顔を見つめる亮子。若菜が視線を合わせた瞬間、亮子の顔が豹変する。
 「う、上原若菜…!?どうしてあなたがここに…!?」
亮子は若菜の顔を知っていた。恐らく正体までも知っているような驚きようだった。という事は今までの事は田口は把握していないという証拠だ。もう隠す必要はない。今度は若菜が豹変する番だった。
 「え??し、知り合い!?」
驚く矢沢に亮子が怒鳴る。
 「刑事よ、こいつは!!」
 「えっ!?」
驚き過ぎて混乱する矢沢。自分がマズい状況である事にも気づいていない。
 「これ、コカインよね?いなぎ市で麻薬を売りさばいてるのはあなたね?田口と組んでこのいなぎ市のお金を吸い取り、人々を狂わせてる張本人…。やっと見つけた!」
 「ちっ…!」
構える亮子。どうやら空手を習得しているみたいだ。若菜も応じる。
 「まさかこんな早く上原若菜に出会ってしまうとはね…!」
右足で蹴りつけてくる。それをかわす若菜。すかさず回し蹴りを飛ばす。手でガードする亮子。凄まじい攻防だ。矢沢はジリジリと後退りしながら怯える。
 「あんた、もしかしてわざと海沿いの強姦を取り締まる予定にして実は街の中を捜査するつもりだったの…?」
 「ええ。田口は覗き見が趣味みたいだから騙してやったのよ。」
 「話通り、デキる刑事だったのね。」
 「ありがとう。」
亮子が若菜の顔を目掛けて拳を繰り出した瞬間、顔をよけ腕を掴む若菜。
 「っせい!」
亮子の体がいとも簡単に浮き上がる。
 「えっ??」
瞬殺だった。目にも止まらぬ速さで亮子の体は壁に激しく打ちつけられた。
 「うっ…」
そのまま床に崩れ落ちる亮子。勝負は若菜の鑑賞だった。
 その瞬間、ドアが開き石山が突入してきた。
 「よ〜し、大人しくしろ。麻薬所持の現行犯で逮捕する!」
 「えっ?えっ?」
矢沢は混乱したまま確保され手錠をかけられた。意識を無くした亮子は西山が連行する。
 「なるべく人知れず運び出すんだ。」
 「はい!」
田口に漏れないよう細心の注意を払う。そして天を仰ぎ大きく息を吐いた若菜に俊介が駆け寄る。
 「どうしてこんな危険な真似をするんだ!もしもの事があったらどうするんだ!!」
珍しく語気を荒める俊介に強気で言い返してくると思われた若菜。しかし…。
 「ごめんなさい…。」
頭を下げて謝る若菜だった。それには俊介もそれ以上責める気にはならなかった。
 「とにかく無事で良かった…。」
若菜の肩をそっと抱き締めた。
 やがて合流した杏奈と渚とともに目立たぬよういなぎ市中央署に向かった若菜達だった。
 捜査は急展開を見せる。時間がかかると思われたリョーという女の逮捕を1日目で成し遂げられたのは若菜の刑事としての才能なのには誰も疑う余地がなかった。


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